2020 Fiscal Year Research-status Report
Performance Information Analysis for Creating Performance Expression Model of Classical Piano Music
Project/Area Number |
20K12119
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水谷 哲也 筑波大学, システム情報系, 講師 (70209758)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 演奏表情モデル / 音楽情報学 / クラシック音楽 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題はクラシックピアノ音楽を対象に,楽曲構造を中心とした楽譜情報から演奏表情の傾向を抽出し演奏表情モデルを構築することを目的としている.令和2年度はCDやYouTubeなどから得られる音声データなどの楽曲演奏情報とMusicXMLの形式で表現される楽譜情報から演奏表情を抽出するデータ整形システムを構築した,このシステムを用いることにより,既存の音楽演奏表情データベースなどに頼ることなく演奏表情が収集できる,このシステムで得られるデータにより演奏表情解析を行った,また先行 研究との解析結果の比較も行った,実験の結果,いくつかの演奏記号が演奏表情であるテンポ変化に影響を与えることが分かった,また先行研究との解析結果の比較では決定係数および偏回帰係数で同じような傾向の結果が得られた以上を踏まえて本研究で構築したデータ整形システムは有用性があるという結論に至った. 本研究成果はシンガポールで主催されオンラインで開催された国際会議The 8th International Conference on Computer and Communications Management (ICCCM 2020)において, Mizutani, T. and Hasegawa K.: A Data Cleansing System for Musical Expression Analysis, Proceedings of the 8th International Conference on Computer and Communications Management (ICCCM 2020), the International Conference Proceedings Series by ACM, 2020, pp. 111-116. として公表された.なお,この発表は本国際会議でThe Best Presentationとして選定された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた通り,データ抽出システムの基本設計および実験が成功した.これにより多くの楽曲が分析できることが期待されている.作成したシステムで実際の多くの演奏に反映できればより良い成果が得られたと考えられる.また,構築したシステムの精度向上や正確な評価実験などもこれからの課題である.世界的コロナウィルスパンデミックのため,海外渡航し国際会議に出席して研究成果を発表し,他研究者と研究交流情報交換をする機会を失ったが,国際会議はオンラインで参加できたので最低限の国際的研究交流は達成できた.
|
Strategy for Future Research Activity |
演奏情報から演奏表情を得るデータ整形システムの精度向上を図るとともに,分析手法として緊張弛緩構造や隣り合った和音間の誘引構造などに代わる楽曲構造モデルが適用できるかを検討している.これは暗意実現モデルとよばれるものであり,緊張弛緩モデルより容易に計算分析できる可能性を秘めているものである.このモデルを用いて演奏表情を分析する.データ整形システムと暗意実現モデルによる演奏表情分析システムを統合することにより多くの実演奏を分析し,演奏表情モデルを明確化する予定である.
|