2021 Fiscal Year Research-status Report
Performance Information Analysis for Creating Performance Expression Model of Classical Piano Music
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20K12119
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水谷 哲也 筑波大学, システム情報系, 講師 (70209758)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 演奏表情解析 / 音楽情報学 / 暗意実現モデル / クラシック音楽 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題はクラシックピアノ音楽を対象に,楽曲構造を中心とした楽譜情報から演奏表情の傾向を抽出し演奏表情モデルを構築することを目的としている.令和3年度はこれまで楽曲の認知モデルとして楽曲構造の解析に用いた GTTM (Gen- erative Theory of Tonal Music) および TPS (Tonal PiTch Space)とは異なる観点での音楽理論である暗意実現モデル(Implication-Realization model)に基づき演奏表情の解析を行なった.本手法では楽曲の各声部を連続する3音の音符からなる組の列としてとらえ,その高低の関係で数種類のシンボルに抽象化し,それらが楽曲を演奏する際の意識的・無意識的な情動を表現していることを解析する.従来の解析は精密であるが一方では音楽理論を正確に扱う必要があるのに対して本手法での楽曲の解析は非常に容易である.この手法を用いた演奏の解析の結果を従来の手法による解析と比較したところ,おおむね同程度の結果を得ることができた. 本研究成果はシンガポールで主催されオンラインで開催された国際会議The 9th International Conference on Computer and Communications Management(ICCCM 2021)において, Mizutani, T. and Sasaki S.: A Linear Regression Analysis of Musical Expressions using the Implication-Realization Model, The 2021 9th International Conference on Computer and Communications Management (ICCCM ’21), July 16-18, 2021, Singapore, Singapore. ACM, New York, NY, USA, pp. 85-91. https://doi.org/10.1145/3479162.3479175 として公表された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた通り,暗意実現モデルという比較的平易な音楽認知モデルを用いた演奏表情解析が成功した.これを用いてより多くの楽曲の解析が可能になることが期待される.構築したモデルの精度など改良すべき点が多いのと評価実験のためのデータが少ないことがこれからの課題である.本年度も世界的コロナウィルスパンデミックのため,海外渡航し国際会議に出席して研究成果を発表し,他研究者と研究交流情報交換をする機会を失ったが,国際会議はオンラインで参加できたので最低限の国際的研究交流は達成できた.
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に行った演奏情報から演奏表情を得るデータ整形システムの精度向上を図る.特に音声波形データから演奏のオンセット情報を正確に抽出する方法について検討を加えていて,間も無く成果が発表できる予定である. それとともに,解析手法として 緊張弛緩構造や隣り合った和音間の誘引構造を導くためのGTTMおよびTPSによるタイムスパン木,延長的還元木といった構造について研究する.これは世界的に研究が進んでいて一定の成果が得られてある分野ではあるが,より平易な自動抽出手法を追求する.令和3年度に行った暗意実現モデルに基づく演奏解析手法と併せ,延長的還元木に基づく緊張弛緩構造による演奏解析を行うことで演奏モデルの構築を図る.
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Causes of Carryover |
世界的コロナウィルスパンデミックのため,海外渡航し国際会議に出席して研究成果を発表し,他研究者と研究交流情報交換をする機会を失ったため次年度使用額が生じた.本年度は積極的に海外渡航し国際会議に出席し研究成果を発表する計画である.なお,当初計画したほど人件費は必要がないことがわかったので人件費は使用する計画は今のところない.
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