2021 Fiscal Year Research-status Report
電子書籍における読書状況に応じたストーリー情報呈示システムの開発
Project/Area Number |
20K12130
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山西 良典 関西大学, 総合情報学部, 准教授 (50700522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 陽子 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (70512101)
中村 聡史 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (50415858)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 読書支援 / 情報抽出 / ストーリー情報の提示 / 電子書籍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,電子書籍上での作事コンテンツを対象として,映像作品のようなストーリー情報の提示によって読書意欲の向上と内容理解の促進を実現する技術の開発を行っている.映像作品では,あらすじ,次回予告,振り返りといったストーリー情報を適宜提示することによって,作品に対する視聴意欲の向上や内容の 理解を促していると考えられる.この情報提示方法を,電子書籍に取り入れることで活字コンテンツのエンターテイメント性を向上させ,活字離れ問題の端緒とすることを狙っている. ストーリー情報を適切に提示するために,昨年度の基礎調査をもとに読書・視聴意欲が低下するおそれのある「ネタバレ」を避けた情報検索インタフェースを開発した.提案インタフェースでは登場人物の出現頻度情報を用いることで,登場人物の初登場シーン,活躍シーン,ストーリーの展開上大きな出来事の検索を支援する.さらに,ネタバレを事前に避けるためのインタラクティブなしかけの方法についても検討した.読者が読書意欲を低下する個人的な忌避事項を他ユーザと容易に共有可能なしくみ,既読部と未読部を判定するためのクイズを投稿および共有可能な仕組みを提案および実装した.提示すべき情報の抽出に関しては,物語の内容を掴むための概要ではなく,これから享受する物語を楽しむことにフォーカスした情報抽出の手法を提案した. これまでの研究成果については,査読付き学術論文誌1件,査読付き国際会議論文3件,国内研究会5件の発表を行った.また,昨年度に申請した特許に関連してJSTの新技術説明会においても講演を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象をマルチモーダル情報を含む漫画に変えたものの,ストーリー情報を伴うエンターテインメントにおいて重要なファクターであるネタバレを回避するための読み返しインタフェースの開発がほぼ完了した.これにより,本研究で目標としていた読み返し支援については概ねの目処がたった.この結果について,査読付き論文誌での掲載も決定した. 情報提示技術については,これからの楽しみを基準にした情報の重要度評価関数については設計ができた.一方で,テストユーザを用意した実験を必要とするが,これについては新型コロナウイルス感染拡大防止のため,実験環境や実験設定に想定よりも長い時間を要している.読者の感性的な評価を正しく取得し,評価するための検討を重ねている.
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Strategy for Future Research Activity |
読み返しの支援については,検索インタフェースや情報の性質によるユーザの楽しみ方の変化の調査が完了しつつある.今後は,あらすじと次回予告のための情報抽出手法と提示方法の確立,および,その有用性評価を主軸に取り組む. 検索インタフェースは,物語コンテンツ全般に利用可能と考えたため,現在の実験では画像と言語のマルチモーダルな情報である漫画を対象として有用性の評価実験を行った.検索対象のメディアを活字コンテンツのみとした場合の評価実験についても検討する. また,世界的に新型コロナウイルス感染状況が良好になりつつあることで,海外の研究協力者との議論を加えて国際的な研究発信についても計画する.
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Causes of Carryover |
国際会議等での国際的な研究発表,および,海外の研究協力者との議論のための旅費を計上していたが,未だ新型コロナウイルス感染症対策が緩和されず海外渡航ができなかったことによる残額が発生した.また,被験者を集めたユーザテストなどについても,感染症対策のレベルが上下したこともあり,実施ができなったため,このための謝金などについても残額が生じた. 2022年度には,国内のみならず海外でもオンサイトの会議が再開される見通しある.残額については,国際会議等での発表や論文誌へ投稿に関わって使用する予定である.
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