2022 Fiscal Year Research-status Report
Functional Interaction between MRE11 and ATM in cytoplasmic stress responses
Project/Area Number |
20K12162
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
小林 純也 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 教授 (30301302)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ストレス応答 / 酸化ストレス / 脳神経変性 / ATM / MRE11 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線高感受性遺伝病A-TとATLDでは、その原因遺伝子ATM, MRE11が放射線誘発DNA損傷応答に重要な機能を持つことが明らかとなってきているが、これら遺伝病患者が示す進行性小脳失調症の発症機構はいまだ明らかとなっていない。本研究課題ではその発症メカニズムに迫るために、近年これら遺伝子の役割が明らかにされつつある細胞質内ストレス応答経路におけるATMとMRE11の役割・機能的相互作用を脳神経幹細胞・血管内皮細胞を用いて明らかにすることを目的の根幹とし、さらに応答時のATM, MRE11との結合因子をプロテオミクス解析で同定、機能解明し、進行性小脳失調の発症機構の解明を目指すものである。 血管内皮細胞では低線量率照射時にROS蓄積に伴う酸化ストレス応答の活性化とともに顕著な微小核形成が誘導され、DIAプロテオーム解析から、低線量率照射に特異的に減少するタンパク質因子が微小核形成制御にかかわることが示唆された。一方、同じ解析で低線量率照射特異的に増加する因子として同定された32個の中で、低線量率照射では主な刺激因子はROS特異的蓄積酸化ストレス活性化であることからミトコンドリア性ROS誘導剤pyocyanin処理を行って検討した結果、SOS2, DR-6, MEKK4はpyocyanin処理に伴い継続的に増加することがウェスタブロット解析で確認された。これら酸化ストレス誘導因子は低線量率放射線細胞応答を評価するマーカーとして利用できる可能性があり、細胞質内ストレス応答におけるATM, MRE11との関係性を次年度検討する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DIAプロテオーム解析した因子で同定した因子について、酸化ストレス誘導因子はウェスタンブロット法で増加反応の再現性が確認でき、低線量率放射線細胞応答を評価するマーカーとして利用できる可能性を示すことができているが、本研究課題で標的としているATM, MRE11との関係性、細胞質性ストレス応答の役割について、詳細な解析が目指したところまでまだ進んでおらず、研究の進捗はやや遅れているとの状況分析が適切と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
DIAプロテオーム解析で同定した因子について、引き続き様々なストレス(特に細胞質内ストレス)における反応性をウェスタンブロット法で検討し、応答の共通性を解明するとともに、これら因子のATM, MRE11との関係性について、物理的相互作用があるかを免疫沈降法で検討し、ATM阻害剤, MRE11阻害剤やsiRNAノックダウンを行って、ストレス誘導処理を行って、同定因子の発現変化をヒト血管内皮細胞、ヒト繊維芽細胞で検討を進める。 ATMとMRE11の機能的な関係の解明では、免疫沈降法を用いて、ストレス誘導(細胞質内ストレスで特にミトファジーを誘導しうる条件で)時の物理的相互作用を免疫沈降法で検討するとともに、免疫蛍光染色法で、細胞質内での動態、相互作用を検討する。
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Causes of Carryover |
本課題の研究代表者小林が令和2年4月に所属機関を京都大学から国際医療福祉大学へと異動し、異動後に研究・実験環境のセットアップ、研究再開に相当の時間が必要であった中、さらにコロナ禍で研究環境整備に大幅な遅れが生じ、実験室での研究開始が令和2年年度後半となり、さらに令和3年度、令和4年度では遅れを補うために、研究の精力的な遂行を計画したが、令和4年度半ばまでコロナ禍が続いたため、国内外の関連研究室の訪問・情報収集を踏まえての研究展開ができず、研究費の使用が計上額と比べて大幅に少なくなった。令和4年度後半はコロナ禍がおさまり規制も概ね撤廃されたことから、国内外の関連研究室との交流・情報交換も十分に可能なことから、精力的に研究展開し、前年度までの計上額も含め研究費を使用し、本研究課題の完了を目指す。
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