2023 Fiscal Year Research-status Report
地域循環型社会に向けた「木の駅」方式の地域通貨による資源管理に関する研究
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20K12304
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
泉 留維 専修大学, 経済学部, 教授 (80384668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中里 裕美 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (20555586)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地域通貨 / 木の駅 / 地域循環共生圏 / 自伐型林業 / コード決済 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、全国の稼働中の全地域通貨を対象とした質問紙調査の準備作業を行うと共に、2020年から急速に増加しているデジタル地域通貨の現状についての調査を行った。 第一に、「木の駅」方式の地域通貨を含む日本各地の地域通貨について実態(導入目的や規模等)を明らかにするために質問紙調査を行うことを計画しているが、昨年度に引き続き、送付先等の基本情報を得るために稼働中の地域通貨の一覧の更新作業を行った。2022年末時点で189の稼働中の地域通貨を確認し、これまでの延べ立ち上げ数が684となっている。189の地域通貨のうち、「木の駅」方式は48、デジタル方式は46となっており、この2つが今の日本の地域通貨の主流のタイプといっても過言ではない。 第二に、2020年以降、急激に増加しているデジタル地域通貨の稼働調査についてであるが、2019年末時点では13だったものが、コロナ禍が始まった2020年に明らかな増加を示して、2022年末には46となっている。今後もこの傾向が続くと予想される。一方で、「木の駅」方式は近年、新規の立ち上げがほぼなく、定常状態に入っており、デジタル化もあまり行われていない。地域通貨のデジタル化は、個々人のスマートフォンや店舗等での端末の普及率も重要だが、それ以上にデジタル化によってアナログでは難しかった仕掛けや工夫が組み込めるかが継続する上ではより重要となる。「木の駅」方式の進展のためにデジタル化が有効かどうかの視点も入れて現状分析を続ける必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は、「木の駅」方式の地域通貨の現地調査(参与観察)や日本各地で行われている地域通貨について実態(導入目的や規模等)を明らかにするための質問紙調査を行うことを計画していた。しかし、コロナ禍のためこれまで延期し続けていたことから、残りの期間では十分な成果を出すことが難しいと判断し参与観察については中止した。ただし、状況が許せば、次年度に行えるような態勢は残した。 質問紙調査については、コロナ禍の影響がまだ強く残る中で実施した場合のバイアスの発生等を考慮し、送付先一覧等の情報の更新のみ行った。また、2020年以降、デジタル地域通貨が急激に増加していることから、その詳細を調査し、ほとんどデジタル化していない「木の駅」方式における課題の検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、例年行っている日本全国の稼働状況の調査について、年度前半に速やかに実施し、その結果に基づき日本各地で行われている地域通貨について実態(導入目的や規模等)を明らかにするための質問紙調査を確実に年度半ばには実施することを目指す。 また、上記の質問紙調査において、「木の駅センサス2019」の項目を盛り込むのが難しいと判断した場合は、木の駅に対してのみ別途追加調査(郵送法)を行う可能性も検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため2022年度までは参与観察を行うことができず、残りの期間では十分な成果を出すことが難しいと判断し、参与観察による現地調査を行うことを中止した。また、質問紙調査については、参与観察中止に伴い、それも補えるような質問の作成に時間がかかり、思慮した結果、次年度の調査で使うために予算(未使用額)を残した。2024年度は、質問紙調査を確実に実施すると共に、とりまとめの論文の執筆を行う。
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