2023 Fiscal Year Research-status Report
栄養転換の進展と栄養不良の二重負荷―インドネシア・スンダ農村での継続的観察調査―
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20K12342
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小坂 理子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (50784873)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | インドネシア / 食文化 / 食嗜好 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の調査(8月7日~26日)で収集した身体活動および秤量自記式食事調査のデータの入力・整理に想定していたよりも時間がかかったため、2023年度前半にもこれを行い完了した。現在分析に取り組んでいる。 また、2023年度にも研究費に目処がついたため2023年8月12日~18日に渡航し現地調査を実施した。このときの調査ではまず、コミュニティ全世帯を訪問して住民全員について基礎情報を確認し、出生・死亡・転入・転居を含め前年の調査時からの変化を把握した。 次いで、過去の食習慣や食に関連する儀礼的行事について聞き取り調査を実施した。とくに日常の食事と婚礼等のハレの食事について探るため、グループインタビューをおこなった。ほとんど自給自足と物々交換で成り立っていた日常の食事は、コミュニティ周辺で採集できる食物が主であり、さまざまな調理方法を用いることでバリエーションを広げる工夫がなされていた。今日の食卓にはみられないメニューも多く挙がった。また、ハレの食事に関しては世帯の社会経済的状況が大きく反映され、品数の多さや用いられる食材に明らかな違いが見られた。こうしたことは当該住民らの今日の食の嗜好に一定の影響を及ぼしていると考える。 加えて、コミュニティ住民の出生年について詳細な調査を実施した。とくに高齢者などでIDカード作成時に出生年月日を覚えていなかった場合などはIDカード記載されている出生年月日は必ずしも正確とはいえない。住民の名前を書いたカードを作成し、それを年齢順に並べ替えてもらうことで、出生年の確認を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の流行拡大のため当初予定した時期に現地調査ができなかったが、2022年度に続き2023年度にも現地調査が実施でき、良質なデータが収集できた。身体活動調査、秤量自記式食事調査のデータの入力・整理には時間がかかったが、計画全体に影響する大きな遅れではない。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の現地調査で収集した身体活動および食物摂取のデータについて分析を進め、学会発表、論文執筆をおこなう。その際、過去に同コミュニティで調査を実施した他の研究者や、本研究に現地アシスタントとして協力していただいたパジャジャラン大学の学生(現在は卒業した者も含む)と、調査データと分析結果についてディスカッションする機会を設けたい。
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Causes of Carryover |
前倒しで支払い請求をし論文の英文校閲費用や掲載費の支出に充てたが、当初見積もった額よりも低く抑えられたため次年度使用額が生じた。 次年度にも学会や学術雑誌での成果発表をおこなう予定であり、次年度使用額はこれに充てる。
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