2023 Fiscal Year Annual Research Report
The politics of securitization and desecuritization of "boat people" in Australia
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20K12351
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
飯笹 佐代子 青山学院大学, 総合文化政策学部, 教授 (30534408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 真弓 名古屋商科大学, 国際学部, 教授 (20259344)
加藤 めぐみ 明星大学, 人文学部, 教授 (30247168)
山岡 健次郎 群馬県立女子大学, 国際コミュニケーション学部, 准教授 (10584394)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ボートピープル / 難民 / 脱/安全保障化 / 越境 / 境界/国境管理 / 移動/モビリティ / 難民アート / 収容所文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
メンバーによる計3回の研究会を、2023年6月3日、12月2日、2024年3月28日に実施した。6月にはゲスト講師としてフォト・ジャーナリストの金森マユ氏を招き、コロナ禍における豪州の境界管理について写真や作品を参照しながら講義をしていただいた。 飯笹は、豪州のボートピープル政策に対する、当事者や支援者によるアート活動を通じた抗議運動について、シドニーで「難民アートプロジェクト」を立ち上げた学者やアーティストへの聞き取り等により調査を行った。また、これまでの成果を踏まえて、研究分担者の鎌田真弓氏と共編で『移動と境界――越境者からみるオーストラリア』(昭和堂、2024年)を刊行した。 鎌田は、文献・資料の分析を通じて豪北部海域の領域化と越境者に対する「脅威」認識の相互関係を考察した。明治・大正期に日本人出稼ぎ労働者が従事した真珠貝漁に着目して、領海の画定と入国管理制度の関係性を検討するとともに、1970年代以降の海洋境界の画定が新たな「越境者」を生み出し、漁民やボートピープルが密漁者・密航者として「安全保障化」された背景を明らかにした。 加藤は「排斥言説」に対抗する移民・難民の言説とアクティビズムについてこれまでの研究をまとめた。収容所の現状の告発を文学作品に昇華したベフルーズ・ブチャーニーについて、及びヤングアダルト文学作品にみる啓発的テーマについて、論考を執筆した。また翻訳家オミド・トフィギアンや作家・活動家のモハメド・アーマッドに現地で面談調査を行った。 山岡は、『移動と境界――越境者からみるオーストラリア』の分担執筆者として、「移民たちのボネギラーナショナル・アイデンティティの境界を訪ねて」を執筆。加えて、『モビリティーズの社会学』(有斐閣、近刊)の編者の一人として、「モダニティの両義性と複数性」を執筆。現代世界における越境移動がもつ意義を多角的に検証した。
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Research Products
(10 results)