2022 Fiscal Year Research-status Report
米国のオルトライトの世界的展開に関する民族誌的考察
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20K12352
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡辺 靖 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 教授 (70317311)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 白人ナショナリズム / アメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍による渡航がより容易になったことから、当初の予定通り、ヨーロッパでフィールドワークを行い、米国の白人ナショナリズムの影響や相互作用などについて調査する計画でいた。しかし、2022年2月に発生したロシアによるウクライナ侵攻により、当初予定していたウクライナ訪問が不可能になった。加えて、ヨーロッパ便のダイヤが大幅に改正され、かつインフレにより現地の滞在費が高騰したため、今年度はヨーロッパでの調査は取りやめ、代わりにアメリカ国内で調査を継続することにした。伝統的に白人ナショナリズムはアメリカの南部や西部で強かったが、近年はカリフォルニア州やオレゴン州、ワシントン州などの西海岸でも活発化している。その背景には人口構成の変化や高学歴化に伴う社会的分断があるが、今回はワシントン州シアトルを中心に、白人ナショナリズムの活動家や、反差別の立場から活動する団体関係にヒアリングを行った。特に注目したのは国際的なネットワーキングの現状把握だったが、コロナ禍による渡航制限などで、物理的な交流は不可能になったものの、その代替手段としてZoomなどを利用したコミュニケーション、あるいは秘匿性の高いSNSなどを通して、ネットワーキングが進んでいることが明らかになった。むしろオンラインで過ごす時間が多くなった分、過激化が進んでいる印象も受けた。同時に、反ワクチンや反ロックダウンなどの政策、様々な陰謀論との関係も深い。また、物価高騰やウクライナ支援への「疲れ」が、欧米における自国第一主義や排外主義的な言説にさらなる拍車をかけている面もある。単なる人種問題上の根深さがあり、それゆえに考察の必要性を感じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍やウクライナ戦争による影響で、当初予定していたヨーロッパにおけるフィールドワークが予期せぬ遅延を余儀なくされている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍による渡航制限もほぼ解除され、かつ国際線のタイヤも安定化しつつあり、かつ科研費で定められた宿泊費の上限も引き上げられたので、2023年度はヨーロッパやオセアニアを訪れ、当事者へのヒアリングを実現したい。また、11月にはアメリカ人類学会の年次大会がトロント(カナダ)で開催されることから、これまでの成果を発表し、さまざまなフィードバックを得て、出版へ繋げてゆきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による渡航制限に加え、ウクライナ戦争による国際線ダイヤの不安定化や物価高騰の影響により、ヨーロッパでのフィールドワークが実施困難になったため。2023年度は戦争がヨーロッパ各地に拡大しない限り、実施可能と判断している。
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