2020 Fiscal Year Research-status Report
The Evolution of Fresh Fruit Export Industry in Latin America: Strategy for the Sustainable Economic Development
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20K12390
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
清水 達也 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センターラテンアメリカ研究グループ, 研究グループ長 (00450510)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ラテンアメリカ / ペルー / メキシコ / チリ / 青果物輸出 / 産業発展 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以前に支援を受けた科研費のプロジェクト「ラテンアメリカにおける農業企業の拡大」(基盤研究C 2015年4月~2019年3月)で実施した現地調査のデータを分析したほか、同プロジェクトで実施した米国ラテンアメリカ学会での報告論文などを活用して、ペルーにおける青果物輸出産業の発展(The Development of Fresh Fruit and Vegetable Export Industry in Peru)と題した比較的短い英文の単著(2万5000ワード程度)の草稿を執筆した。 主な内容としては、序論として、ラテンアメリカにおける青果物輸出産業の発展の現状、その中でのペルーの位置づけ、ペルーの経済開発における青果物輸出産業の貢献について述べた。各論では、アスパラガス、ブドウ、アボカド、ブルーベリーの輸出拡大を事例として分析し、バリューチェーンの統合が青果物輸出の拡大と関連産業の成長をもたらしたことを論じた。また、生産・輸出に取り組んだ農業企業が、輸出作物の多様化によって、企業でも安定して農産物供給に取り組めるようになったことを示した。さらに、民間企業が個別で取り組むには難しい、輸出に関わるインフラの整備については、青果物輸出の検疫体制の整備について論じた。具体的には、業界団体を通じて民間企業が共同行動をとり、民間の資源を用いて公共財を構築したことを論じた。この草稿は現在ピアレビュー中で、2022年度中に出版することを目標としている ラテンアメリカ農業の発展について筆者は、『次世代の食料供給の担い手―ラテンアメリカの農業経営体』(編著)を2021年3月に出版したが、その中で共同研究者がチリの青果物輸出産業の発展について分析しており、これに関して研究者と意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように、すでに手元にあるデータに基づいた研究成果の発表に向けての準備は進んでいる一方で、新たな調査についてはコロナ禍で実施の見通しが立たないこともあり、準備が進んでいない。今後の進め方については「今後の研究の推進方策」に記す。
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Strategy for Future Research Activity |
ペルーの青果物輸出産業の発展を分析した後、これをチリやメキシコなどラテンアメリカ域内で先行する国々の事例を比較する予定である。コロナ禍が収まって現地調査が再開できる時に備えて、資料やデータの収集、分析を進める。まず、青果物の品目ごとの詳細な分析を行う。ラテンアメリカ主要国の青果物の輸出データと米国や欧州などの主要市場のデータと輸入のデータを組み合わせることで、各国の青果物輸出産業がどのような市場を狙って供給しているかを明らかにする。次に、各国の地域ごとのデータを用いて分析する。青果物輸出産業は国内でも特定の地域で発展しているケースが多い。その地域をみつけ、農業経営体の特徴や、投入財の供給から輸出に至るバリューチェーンの構造を把握する。これをすすめることで、現地調査が再開できるようになった時に、調査地を迅速に特定できる。このほか、オンライン会議システムを用いて、関連する学会に参加して最新の研究動向に関する情報を収集し、ラテンアメリカの研究者との意見交換を進める予定である。
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Causes of Carryover |
参加を予定していたチリで開催される学会が、コロナ禍で中止になったため、参加できなかった。 当分の間は、外国で開催される学会にはオンラインで参加する。 2022年度以降に、現地調査を実施する。
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