2021 Fiscal Year Research-status Report
外国人と複数ルートを対象にした富士登山者の転倒リスク軽減に関する疫学的研究
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20K12450
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Research Institution | Mount Fuji Research Institute, Yamanashi Prefectural Government |
Principal Investigator |
宇野 忠 山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 研究員 (80342963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 雅弘 山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 研究員 (50310115)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 登山者の転倒状況 / 登山者の転倒率 / 登山者の転倒関連要因の男女差 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、富士山登山道吉田ルート五合目において、下山してくる登山者を対象に転倒に関するアンケート調査を行った。また、平成30年度の調査から転倒に関与している要因について性差が影響している可能性が考えられ、男女での転倒関連要因の違いについて検討した。アンケート内容は転倒の発生状況と転倒に関与が考えれる項目として年齢、性別、身長体重などの一般属性、宿泊やガイド同行の有無などの登山形態、靴やストック、荷物の重さなど登山装備についてと登山道に関する事前情報、疲労度を設問として設け、得られた回答を単純集計、及び統計解析により転倒の発生状況の把握と関連要因を検討した。 日本人対象のアンケート集計状況は、有効回答592人分であった。同様な内容、方法で実施した令和元年度の529人分と合わせた1121人(有効回答率79%)を有効回答とし吉田ルートのみ使用し登頂に成功した15歳以上の者1019人の回答を用い統計解析を行った。対象者の年齢は15~78歳、男性681人、女性338人であった。転倒した者は408人(転倒者率40%)、転倒した男性は242人(転倒者率36%)、女性166人(転倒者率49%)であった。転倒の有無を目的変数とし、転倒への関与が考えられる設問回答を説明変数とした二項ロジスティック回帰分析(ステップワイズ増減法によるAICが最小となるモデル選択)を男女において行い転倒関連要因を検討した。 抽出された転倒関連要因から転倒リスクが高い状況は、男性は年齢が高い、下山道の路面状況を事前に知らない、登山靴以外、靴底が減っている、疲労度が高い場合であり、女性は富士登山がはじめて、ガイドが同行、ストックなし、高山病症状あり、靴底が減っている場合であった。以上のことから、富士山吉田ルートにおける日本人登山者において転倒の発生に関連している要因は男女で異なる機序が考えられる結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、富士登山者の転倒状況を登山ルート別および日本人と外国人を比較することによりそれぞれの対象者に対し有効な転倒予防軽減の対策につながるデータの提供を目的としている。そのための研究方法は登山者を対象とした大規模アンケート調査の実施である。 しかし、令和3年度の富士登山シーズンである7、8月は新型コロナウィルス感染の第5波の時期と重なり、富士登山者はコロナ以前の平成30年度の約23万人から約7万8千人と33%に減少した。加えて、海外からの渡航に制限が設けられており、外国人旅行者が富士登山に訪れる可能性は少ない状況であった。 この状況下で日本語版と同様な内容の英語版アンケート表を作成し、外国人登山者を対象としたアンケート調査を実施したところ日本在住の外国人のみからの回答であったが、設問の体裁やアンケート体制など改善点が明らかとなり次年度の実施に向けた準備となった。また、富士宮口でのアンケート準備を行っていたが、登山者数が少なく都道府県を移動する調査の自粛判断から令和3年度は吉田口の登山者のみの調査にとどまった。 これまでに、当初予定していた富士登山者の転倒に関し吉田ルートと富士宮ルートにおける日本人登山者の比較と吉田ルートにおける日本人と外国人旅行者の比較を行う上で両方に共通の吉田ルートでの日本人登山者のサンプルは十分得られた。今後は富士宮ルートでの日本人登山者の調査、吉田ルートでの外国人旅行者の調査を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで新型コロナウィルス感染の影響により令和2年度は富士山登下山道の通行止め、令和3年度は登山者激減、外国人旅行者が見込めない状況であったが、吉田ルートにおける日本人対象の調査は十分なサンプル数が得られた。今後の方針として、令和4年度は富士宮ルートの日本人を対象者としたアンケート調査に注力し、ルート別による登山者の転倒状況の比較を行う。 外国人旅行者においては、令和4年度5月時点で海外からの観光目的の渡航は認められておらず、今後の緩和状況が不明な点から、研究内容を登山ルート別の調査に集約する対応や研究期間の延長を視野に入れ、今後の富士山での登山を取り巻く状況により研究内容の修正を検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染の第5波の時期と令和3年度の富士登山シーズンが重なったことにより研究対象である富士登山者の激減、外国人旅行者の入国制限から当初予定していた富士宮ルートでの調査および外国人旅行者を対象とした調査の実施が出来なかった。このとこから、アンケート実施における物品購入、アンケート調査員(外国語対応含む)の雇用およびデータ入力員の人件費、データ解析用PCの購入を行わなかった。また、海外含め学会の開催がオンライン主体となり当初予定していた海外学会への現地参加などが取りやめとなり旅費の使用がされなかった。令和4年度以降、富士登山シーズンは開山され、登山者も増加することが予測されることから登山者を対象とした調査を日数、調査員、データ入力員を増やし実施する計画である。学会の開催についても現地での開催、またはオンラインとのハイブリッド開催へと移行してきており、積極的な学会や勉強会、研究打ち合わせを現地にて行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)