2020 Fiscal Year Research-status Report
A Corpus-Based Critical Discourse Analysis of the Representation of Sexual Minorities
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20K12474
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
吉本 圭佑 龍谷大学, 政策学部, 准教授 (90724477)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コーパス言語学 / 批判的談話分析 / 同性結婚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新聞や国会会議録をデータベース化したコーパスを用いて、セクシュアルマイノリティ(性的マイノリティ)の描かれ方の特徴やその変化を定量的・定性的に分析することである。特に、英語圏における同性結婚の合法化や、日本における同性パートナーシップ制度の導入の前後でそれらがどのように変化したのかを、批判的談話分析 (Critical Discourse Analysis)の質的調査方法と、コーパス言語学の統計的な手法を併用しながら分析する。
我々が日常の中で接している新聞やテレビ、SNSといった情報、また国会での答弁の中には、直接的な表現でなくとも、間接的な表現としてイデオロギーが巧みに埋め込まれている可能性がある。そうした情報に対してリテラシーが醸成されていない場合、特定のイデオロギーが導く方向に、無意識のうちに誘導されてしまう危険性がある。本研究では、同性結婚をめぐる議論において、特に反対派の談話の中にそうしたイデオロギーが見られるのかを精査する。また、同性結婚や同性パートナーシップ制度の成立後には、可視化が進み、よりポジティブな談話が増加するという仮説のもと、その真偽を統計的に調査する。
令和2年度は、分析のベースとなるコーパスを作成した。イングランドとウェールズで2014年に同性結婚が施行される前の、2013年の英国の上院(貴族院)の会議録の電子データを入手し、一つ一つの発言に対して、その発言者の所属政党、同性結婚の合法化に賛成か否か、ジェンダー、一代貴族か世襲貴族かを調べ上げ、情報を付与し(アノテーション)、コーパスを完成させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、令和2年度に英国の上院会議録のコーパスの作成と分析を行い、結果を学会等で発表する予定であったが、新型コロナウィルスの感染拡大に伴いオンライン授業への対応が必要になったため、コーパスのアノテーションに予想外の時間がかかり、分析を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
作成した英国上院の会議録コーパスをもとに、WordSmithとAntConcというソフトウェアを用いて解析を行う。具体的には、同性結婚に賛成派と反対派がそれぞれどのような特徴語 (keyword)を用いているか、どのような語を多用しているか (frequency)、それらがどのような語と共に用いられているか (collocation)を調査する。また、参照コーパスと比較したり、コロケーション(共起表現)の強度をMIスコアによって割り出したりしながら、特徴語・頻出語の意味的韻律を洗い出し、それらがどのような評価的意味を持つのかを調査する。分析結果を学会で発表し、論文としてまとめる。
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Causes of Carryover |
令和2年度は、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で多くの学会がキャンセルあるいはオンライン開催になり、予定していた旅費を使用しなかったため、次年度使用額が生じた。
次年度学会が開催されるようになれば、次年度使用額と翌年度分の助成金を旅費として使用するとともに、研究に必要な書籍の購入や、英語で論文を書く際の英文校閲費として執行する予定である。
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