2020 Fiscal Year Research-status Report
ミュオニウム欠陥の電子軌道状態解明に向けた電子スピン共鳴ミュエスアール法の開拓
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20K12484
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
伊藤 孝 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (10455280)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ミュオニウム欠陥 / 水素関連欠陥 / ミュエスアール / 電子スピン共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
物質中にμ+粒子を打ち込むことで生成されるミュオニウム(Mu)欠陥は、孤立した水素欠陥の電子状態を高い精度で模擬する。このMu欠陥の電子状態はミュエスアール法により解析可能である。しかし、超微細結合が弱い常磁性Mu欠陥については、この標準的手法により得られる情報だけでは電子軌道状態の特定が困難な場合が多く存在する。本研究は、Mu欠陥の軌道状態を反映する電子のg値を直接求める手段として「電子スピン共鳴ミュエスアール法」を提案し、実証実験を通してMu欠陥研究における新たな標準手法としての確立を目指すものである。研究計画は(1)装置開発、(2)ミュオンビームを用いた実証実験とチタン酸化物中の常磁性Mu欠陥の研究への応用、という2段階から成る。初年度は(1)の高周波ミュエスアールプローブの製作を集中的に進めた。プローブはクライオスタット用試料スティックの先端に電子スピン共鳴用のコイルを含む共振回路を付加したものであり、低温条件下において共振周波数とインピーダンスの微調整が可能な設計となっている。20G及び100Gの磁場下における実験を想定して、低周波用(~56MHz)と高周波用(~280MHz)のコイルを別々に用意した。S11反射係数の測定により、いずれのコイルを装着した場合においても想定する帯域において良好な特性が得られることを確認した。次年度の6月に本装置をJ-PARC物質・生命科学実験施設に持ち込んで、ミュオンビームを用いた実試験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、初年度内に装置開発の主要な部分を占める高周波ミュエスアールプローブの製作を完了することができた。研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
J-PARC物質・生命科学実験施設ミュオンS1エリアにおいてCdSの電子スピン共鳴ミュエスアール実験を行い、超微細結合定数~0.24 MHzの常磁性Mu欠陥のg値と他の浅いドナーに対する実験値g=1.78を比較することで本手法の有効性を実証する。これに続いて、ルチルTiO2およびBaTiO3の電子スピン共鳴ミュエスアール実験を行い、超微細結合定数~1 MHzの常磁性Mu欠陥(Mu+束縛ポーラロン)のg値を求める。以上の研究成果を論文にまとめて発表する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行拡大の影響により当初予定していた出張を延期せざるを得なくなったため、旅費を中心とした予算の一部を次年度に繰り越す必要性が生じた。繰り越した予算は事態の収束を待って使用していく予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] High-temperature short-range order in Mn3RhSi2020
Author(s)
Hiroki Yamauchi, Dita Puspita Sari, Isao Watanabe, Yukio Yasui, Lieh-Jeng Chang, Keietsu Kondo, Takashi U. Ito, Motoyuki Ishikado, Masato Hagihara, Matthias D. Frontzek, Songxue Chi, Jaime A. Fernandez-Baca, James S. Lord, Adam Berlie, Atsuhiro Kotani, Shigeo Mori, Shin-ichi Shamoto
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Journal Title
Communications Materials
Volume: 1
Pages: 43-1~43-6
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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