2020 Fiscal Year Research-status Report
The neural basis of perceptual information processing in eidetic image and synesthesia
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20K12570
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
松岡 和生 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (50209508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 浩 岩手大学, 人文社会科学部, 嘱託教授 (20174625)
川原 正広 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (80850156)
松田 英子 東洋大学, 社会学部, 教授 (30327233)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 直観像 / 共感覚 / 視覚イメージ / 投射 / ハイパーファンタジア / マッカロー効果 / アイトラッカー / 脳機能イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 大学生を対象にWebによるオンライン質問紙調査と直観像及び色字・色聴共感覚の標準テストの2段階スクリーニングを実施し,直観像素質者と色字及び色聴共感覚者を新たに十名程検出した。同時にイマジネーションおよび関連認知能力に関する個人差査定(イメージ鮮明性,イメージ選好性,空想傾性,日常イメージ体験,mind-wandering,悪夢と明晰夢を含む夢見経験)を実施した。イマジネーションに関わるAphantasiaとHyper-phantasia(Zeman, 2019)の枠組みのなかに直観像と共感覚を経験する能力を位置づけた場合,直観像素質者および共感覚者の多くがHyper-phantasiaの特質を有する人々であることを示唆する結果を得た。 2.マッカロー効果の残効強度の測定:直観像素質者と統制群の色彩残効の強度の時間変化について比較検討した。その結果、直観像素質者は時間経過に伴う残効強度(色味の濃さ)の減衰率が統制群と比べて小さいだけでなく,色味の強さ自体が全体的に高いレベルであるなど,強いマッカロー効果を示すことを確認した。 3.アイトラッカーによる計測:① 直観像素質者が想像上の対象の動きを追尾した時に smooth pursuitが起こるかどうかについて検討した結果,smooth pursuitが生じるのはごく一部の素質者(2名)に限られており,素質者のほとんどは想像上でのsmooth pursuitは生起しないことを確認した。また強い色聴を有する共感覚者の事例研究で,音刺激によって不随意的に喚起される動的な投射型photism(視覚像)を視覚的に走査する時にsmooth pursuitが起きていないことを確認した。 ②直観像の絵画誘導法の検査時に直観像視察時の視線活動をアイトラッカーにより計測するための実験プログラムの作成と予備的実験を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度は,直観像及び共感覚所有者のスクリーニングを実施し,両方の能力を有する研究協力者を10名程度確保することができた。また質問紙調査から両者に共通する共通特性をイメージ能力の観点から検討した。さらに,脳機能イメージング研究ではNIRSを用いた直観像形成時データの収集を実施し,直観像喚起時の視線計測にも着手することができた。以上の点では研究の進展は概ね順調である。その一方,直観像所有者と共感覚所有者を対象としたfMRIによる撮像実験は,初年度は実施されていない。現在,研究協力者と実験内容をつめている段階であり,28年度には研究協力機関においてfMRIの撮像実験に着手する予定になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)大学生を対象とした直観像及び共感覚保有者の検出検査を行い,新たな研究対象者及びインフォーマントを見い出していく。 (2)直観像の視知覚特性を示す特異的な視線活動及び動向反応をアイトラッカー装置によって検討する。 (4)直観像形成時の視覚野の活動をNIRSとEEGの同時計測によって検討する。 (5)研究協力機関に設置のMRI装置を用いて直観像および共感覚喚起時の脳活動の特徴とその関連性についてのデータを収集する。今年度は,直観像だけを所有している者,共感覚だけを所有している者,直観像と共感覚の両者を所有している者の安静時の脳構造(T1強調)画像と神経繊維(拡散テレソン)画像を撮像し,非素質者群と比較,各群を特異性を示す脳部位の同定を試みる。また,安静時ネットワークに関するデータ収集も行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度の備品等に充てる予定である。
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Research Products
(17 results)