2022 Fiscal Year Research-status Report
The neural basis of perceptual information processing in eidetic image and synesthesia
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20K12570
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
松岡 和生 岩手大学, 人文社会科学部, 嘱託教授 (50209508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 浩 岩手大学, 人文社会科学部, 嘱託教授 (20174625)
川原 正広 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (80850156)
松田 英子 東洋大学, 社会学部, 教授 (30327233)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 直観像 / 共感覚 / 視覚イメージ / 投射 / ハイパーファンタジア / アイトラッカー / 脳機能イメージング / fNIRS安静時脳機能結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 直観像素質者と共感覚者に共通する基盤的特性であるハイパーファンタジアに関わる認知特性の観点から,イメージ能力,認知スタイル,夢見の特徴などのイマジネーションの認知能力を多側面的検討するための大規模web調査を実施した。この調査データの詳細な分析から, ハイパーファンタジアとしての直観像素質者,共感覚者には高度なイマジネーション認知能力に関して共通の特徴が認められた。研究成果は現在論文投稿準備中である。 2.直観像の特異性を客観的に検証する試みとして,直観像の絵画誘導法の検査時に直観像視察時の視線活動をアイトラッカーにより計測,直観像素質者と非素質者の投射イメージ喚起時の眼球運動パタンを比較した。直観像素質者の喚起イメージは視線の停留,サッカード,分散性の点で知覚刺激視察条件の眼球運動パタンと類似性を示す結果が得られた。本研究成果は関連学会で発表した。 3. 新たに直観像素質者と共感覚者の夢見の特性について研究に着手した。本年は睡眠ポリグラフを用いた睡眠実験室における中途覚醒法によって実施した。その結果,特に夢見の感覚特性と明晰性(主観評価),そしてレム密度(急速眼球運動活性度)とEEGコヒーレンス(脳部位間結合度)について,ハイパーファンタジアの特異性を示唆するデータが得られた。 4. 脳機能イメージング研究については, 当初計画のfMRIに替わる計測手法として,最近開発されたfNIRS脳機能結合解析(NIRS-KIT)を用いて直観像素質者および共感者の脳内神経基盤の特異性について検討した。その結果,前頭葉内CH相互の機能結合に関して統制群とは異なる機能結合および賦活パタンを示すデータが得られた。研究成果はR5年度の関連学術学会等で報告し, 国際誌への論文投稿も行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,コロナ禍で遅れていた脳機能イメージング研究については,他機関でのデータ収集を計画していたMRI計測実験から,代表者の研究機関でも実施可能な脳波とfNIRSによる新しい計測解析技法を用いた研究にシフトすることで脳機能イメージング研究の新たな展開を図った。このことにより今までの遅れをある程度取り戻すことができた。全体的に当初計画されていた調査研究と実験研究によるデータ収集は順調に進んでいると思われるが, 理論モデルの構築と成果をまとめて論文化し投稿する段階の作業は十分に進んでいるとはいえない状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)大学生を対象とした直観像素質者及び共感覚者の検出検査を継続的に実施し,新たな研究対象者,インフォーマントを見出す。同時にこれらの人々の心像体験に関する報告を個別面接により収集,蓄積し,直観像及び共感覚の視覚性クオリアの特性について質的・現象的側面からまとめていく。 (2)直観像素質者と共感覚者をハイパーファンタジアの研究枠組みの中に位置づけ,直観像素質者と共感覚者のイマジネーション認知能力に関わる諸変数と脳内神経基盤との関連性について理論モデルを構築する。 (3)直観像の視知覚特性を示す特異的な視線活動及び瞳孔反応をアイトラッカーによって検討する。 (4)直観像素質者および共感者の脳内神経基盤の特異性についてfNIRS安静時機能結合解析を用いて検討する。現在,前頭葉内CH相互の機能結合に関するデータを得ているが,今後は当初計画にあるようにDLPFC(背外側前頭前野)―IPL(下頭頂小葉)―V1(後頭葉初期視覚野)(左右両半球)の間の機能結合関係をターゲットに検討を進める。
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Causes of Carryover |
実験室における研究に遅れがあり,予定していた額の研究協力者謝金が執行されなかったこと。当初予定していた国際学会で参加報告が行われなかったこと。 昨年度より他機関で実施予定の実験計画を見直し,代表者所属機関の実験装置を利用する計画に変更したことで旅費,謝金,装置使用量にかかる負担がなくなっていること。次年度は新たな実験が予定されており,その実験に関連する備品,プログラム作成の委託,実験協力者および補助者への謝金,さらに成果報告のための国内外の学会出張の旅費に充当する計画である。
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Research Products
(15 results)