2020 Fiscal Year Research-status Report
ダイバーのための海水を利用した独創的な生体電気計測手法の確立とシステム開発
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20K12614
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Research Institution | Hyogo Prefectural Institute of Technology |
Principal Investigator |
瀧澤 由佳子 兵庫県立工業技術センター, その他部局等, 上席研究員 (20470255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
才木 常正 兵庫県立工業技術センター, その他部局等, 上席研究員 (80470227)
有馬 正和 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70264801)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生体電気計測 / 海水 / 導電率 / ダイバー / 呼吸 / 発声 |
Outline of Annual Research Achievements |
島国の日本では、ダイビングをレジャーで親しむ人約100万人おり、職業で水中作業を行う人も加えると相当数の人が海中での活動を行っている。しかし、海中は人の生命維持に必要な空気が周りにない環境であるため、危険を伴っており、毎年重大事故が報告されている。従って、事故を未然に防ぐための安全監視策が求められている。 そこで、我々はダイバーの安全監視での応用を想定し、従来の陸上での方法とは異なる、海水の導電性を利用した新規の生体電気計測法を提案した。そして、模擬海水を満たした浴槽にて実証実験を行った。その結果、従来法の約半分の生体電極数で測定可能であり、得られる生体電気信号に外部ノイズが殆ど混入しないという提案手法の利点が証明された。 本年度、浴槽ではなく実際の海水を循環させたプールで被験者に遊泳してもらい、その時の胸部と両太股での生体電気信号を計測し、提案手法について実証実験を行った。その結果、胸部での生体電気信号波形に動的なアーチファクトの混入とみられる基線の変動が見られたが、心電図のR波と思われる急峻な変化が波形から読み取れ、R―R間隔を求めることができ心拍数が推定できることが確認できた。また、両太腿での生体電気信号波形には、交互に急速な変化部分が見られ、両足を交互に動かしたときの筋電位が計測できていると考えられる。 従って、遊泳時にも提案手法により心電図、筋電図が計測できる可能性が高いことがわかった。 また、生体電気計測により得られると予想されるダイバーの心拍数、身体行動の情報他、ダイバーの呼吸、発声の情報を得るための計測方法の検討として、ダイビングで使用するシュノーケルに取り付けた加速度センサの利用についても検討した。浴槽にて実証実験を行った結果、呼吸と発声が検出できる可能性が高いことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度中に、次年度予定していた海水を引き込んだプールでの実験が、実験場所が確保できたため前倒しで実施できた。これまで我々が提案している生体電気計測手法を浴槽での実験により実証していたが、浴槽では被験者に泳いでもらうだけの大きさがなかった。今回、遊泳時の実証実験ができたことは実海域での実験を準備する上で非常に大きな成果となった。また、生体電気計測で得られる心電図、筋電図以外の情報として、呼吸、発声が検出する方法も検討し、これらが検出できる可能性が高いことがわかったことも、多方面からダイバーの安全監視を検討する上で大きかった。しかし、これらのことを優先して実施したために、令和2年度に予定していた、提案している生体電気計測方法で得られる心電図・筋電図が混在する生体電気信号からそれぞれを分離する方法については十分に検討できていない。これについては、令和3年度に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に令和3年度の実施予定の海水を使用したプールでの遊泳実験を前倒しで行ったために、令和2年度に実施予定であった得られた生体電気計測信号から心電図・筋電図を分離する信号処理方法については十分検討できていない。令和3年度はまずこれに取り組む予定である。そして、令和2年度の実証実験で得られた知見をもとに、ウェットスーツへの生体電極の組み込み方や計測システムの完全な防水対策等について検討し、4年度に予定している実海域での実証実験にむけて準備する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、実験の回数が減少し、予定していた実験協力者の交通費の額を使わなかったため。今後、予定の実験を行うのでこの金額は次年度早々に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)