2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K12730
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
橋本 美芽 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 准教授 (80347278)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / 住環境整備 / 福祉用具 / 住宅改修 / 環境調整 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、認知症高齢者を対象とした住環境整備の特性を把握することを目的とする。在宅生活を送る認知症高齢者とその家族介護者を対象として、認知症高齢者の住まいの環境の特徴と、それに基づく住環境整備の特性を検討する研究である。先行研究をみると、認知症高齢者の在宅環境に関する研究は少数であり、整備後の事例報告、住宅改修内容の統計に関する研究が主であった。本研究は、実際に住環境整備を行った認知症高齢者とその家族を対象として訪問調査を行う点が特徴的である。 訪問調査では、認知症高齢者の生活状況を聞き取り把握すると共に、住まいの生活環境と生活状況との関係、さらに生活行為別の関係について家族介護者に半構造化面接によるインタビューを行って、介護者の語りから特徴を把握し、これを検討することで、住環境整備の特性を抽出する計画である。しかし、2020年度に開始した本研究と新型コロナウイルスの蔓延が時期を同じくしたことが影響し、行動制限、人的交流等の制約が生じ、訪問調査の実施は困難をきわめている。協力者の募集に対しての応募はなく、受け入れ先がないことから訪問は実現していない。 そこで、訪問調査の受入れ者の募集を継続すると共に、住環境整備に関わった経験のある専門職を対象とした、認知症高齢者の住環境整備についてのヒアリングを行った。歩行能力の低下による要介護高齢者との住環境整備の特徴の違い、専門職からみた留意点などについて把握した。その結果、介護保険における住宅改修の目的や考え方と、認知症高齢者を対象とした住宅改修の目的や考え方には相違点があり、転倒予防や自立度の向上をを目的とする以外に家族の精神的負担を主な目的する住宅改修が多く把握された。認知症高齢者を対象とした住環境整備では、誰のための取り組みなのか、認知症高齢者の行動制限にならないか、等の視点が求められることが把握された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、在宅生活を送る認知症高齢者の自宅を訪問し、家族介護者へのインタビュー、住環境整備を実施した環境の使用状況の確認、認知症者の行動の観察を試み、その内容を分析して、認知症高齢者の住環境整備の特性を模索することを目的としている。 しかし、研究開始年は、新型コロナウイルスの蔓延と重なり、またその後のパンデミックによる行動自粛の状況下では、自宅の訪問調査の実施は事実上困難であった。そのため、研究開始当初の研究計画通りの実施は困難を極め、調査への協力依頼に対する応募者はいない状況である。そのため、現在も訪問調査の実施は実現していないことから、研究計画を大幅に見直し、専門職へのヒアリングを実施している。以上の状況により、研究の進捗は遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、認知症高齢者の住環境整備における特性の把握である。残念ながら新型コロナウイルスによる世界的パンデミックの影響を受けた。そのため、研究開始当初の研究計画通り、訪問調査による住環境整備の特徴把握の研究協力者の募集を続け、当初の訪問調査の実現を模索すると共に、研究計画の大幅な見直しによる、専門職へのヒアリングを進める。調査対象者は、住環境整備に関わった経験を有する介護支援専門員、地域包括支援センターの相談員、回復期リハビリテーション病院の理学療法士・作業療法士等とする。一般的な運動能力の低下による要介護高齢者のための住環境整備と比較して、認知症高齢者のための住環境整備の相違点、住環境整備の目的、特徴、実施による生活行為の変化やその効果、専門職としての留意点等について把握を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
本研究は、当初の研究計画では、在宅認知症高齢者を対象とした、自宅の訪問調査と行動観察、家屋調査、インタビューを主たる内容としていた。しかし、研究開始と同時期に発生した新型コロナウイルスの蔓延、パンデミックによる行動制限により、対面や訪問による調査は実施が困難であった。実際には、当初の研究計画である訪問調査の困難な状況は3年に至っている。その主な理由は調査受け入れ協力者の確保が困難であることによる。これにより、当初の計画内容の大幅な見直しを余儀なくされた。調査実施が困難であった期間の研究費の支出は低額にとどまった。これにより最終年度である次年度への研究費の繰り越しが生じた。 今後の使用計画としては、ヒアリングに対する謝礼への支出、データ処理のための文字お越しつクリーニング作業の委託、データ解析用ソフトウエアの購入等を想定している。
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