2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K12811
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
西山 綾瀬 (井上綾瀬) 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10838527)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 律 / 比丘 / 食生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,仏教出家者の食生活の規則集(諸律文献薬ケン(牛へんに健)度)の内容を踏まえ,古代の流通や医学の知見を加えて,仏教出家者の実際の食事内容に迫るものである.砂糖や塩の記述をもとにインドにおけるフィールドワークを行う予定であったが,調査や再現実験は新型コロナの状況に左右され実施できていない. そこで,本年はブドウに視点を定め,仏教美術に関する先行研究,国内にあるガンダーラのブドウに関する作例,薬ケン度に限定しない律文献の記事を検討した.その結果は,現存する律文献によるブドウに関する記事に差異が認められ,律文献を保持したといわれる部派の活動地域の検討に入れた.ぶどうは,湿潤な気候を好まない植物である.南インドで使われたと言われる文献にはブドウに関する記事が少ない.現存する律文献の成立時期や内容の精査は研究途上にあり,記事の多少がみられるブドウはこれらの研究を補強するものとなった. これまでは,インド仏教につながる律文献を対象にしてきたが,漢人仏教僧の法顕,玄奘,義浄らによる年代のわかるインド旅行記に残る食文化についての情報を読解に読み込む準備を進めた.ただ,同様に法顕らの情報も同定に時間がかかっている. 今年度は2年目であったが,長時間かかる実験(黒蜜を素焼きのかめに入れて,土に埋めて,3年ほどの経過をみる)の準備ができなかった.国内ですら移動できないことが足を引っ張った.そのため,コロナ禍でも進められるテキスト研究に重点を置いた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地域,国を移動しての実験,フィールドワークが行えなかった.文献研究の進捗は予定より早い.
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Strategy for Future Research Activity |
移動の制限が解除され次第,遅れているフィールドワークを中心に進める.それまでは,文献研究を進める.
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Causes of Carryover |
コロナ禍により,フィールドワークに赴けず,次年度使用額が生じた.自由な移動が再開され次第,遅れているフィールドワークに赴く.
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