2023 Fiscal Year Annual Research Report
人文学系大学院留学生のアカデミック・ライティングにおける要旨作成の実証的研究
Project/Area Number |
20K13090
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Research Institution | Edogawa University |
Principal Investigator |
三谷 彩華 江戸川大学, 国際交流センター, 講師 (20831960)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 論文要旨 / 要約 / 文章構造 / クラスター分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、人文学分野の研究論文の要旨の作成方法を提案することを目的としている。2023年度は、論文要旨の評価調査で収集した自由記述コメントの分析を行った。 分析においては、4種(「概要提示型」「背景・目的詳述型」「結論詳述型」「方法詳述型」)の分量配分で書かれた論文要旨全19編を調査協力者が4段階で評価した際の自由記述コメントのうち、最高評価である「4」の要旨と最低評価である「1」の要旨に対する全243のコメントを対象とした。 分析の結果、自由記述コメントには、研究目的や結論等が誤解なく伝わるような「記述内容のわかりやすさ」、論文要旨に使用する「語彙」の統一や定義の有無、論文要旨に必要な「構成要素」の有無、論文要旨に書かれる「構成要素の分量」配分の適切さ、読み手にとってわかりやすい「表記」、接続表現やメタ言語表現といった「表現」の適切さ、論文要旨に書かれる構成要素の配列(「文章構成」)に関する記述が見られた。本研究の類型は、論文要旨の構成要素の分量配分により分類したものであるため、「構成要素」や「構成要素の分量」に関する記述が多く見られたが、「記述内容のわかりやすさ」や「語彙」、「表記」に関する記述も一定以上見られた。 本研究では、大学院生の論文要旨の作成調査で挙げられた問題の中でも、論文要旨に書かれる構成要素やその分量配分に焦点を当て、学会誌掲載の論文要旨の文章構造分析で明らかになった4種の分量配分の論文要旨の評価調査を行った。その結果、「背景・目的詳述型」「方法詳述型」の要旨よりも、「概要提示型」「結論詳述型」の要旨の方が有意に高い評価が得られることが明らかになった。また、自由記述コメントの分析により、記述内容のわかりやすさや使用する語彙、表記も評価要素となっていることが明らかとなり、今後、より多角的な視点で論文要旨を解明し、作成方法を提案する必要性を指摘した。
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