2020 Fiscal Year Research-status Report
英語学習者向け速読教材の言語特性の検討と教材作成基準の提案
Project/Area Number |
20K13108
|
Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
田中 菜採 山口県立大学, 国際文化学部, 講師 (80795005)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 速読 / リーディング / 読みの流暢さ / 教材分析 / 英文の読みやすさ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では英語の速読活動に用いられるレベル別教材に焦点を当てる。速読活動は、英語学習者の読解速度・読解効率を向上させると期待されている。速読活動では学習者の習熟度レベル別の速読教材が使われる。本研究の目的は、既存のレベル別速読教材を分析することでレベル別速読教材特有の英文の言語特性と内容理解問題の特徴を検討すること (教材分析)、また、教材の特徴が日本人英語学習者の読解速度・読解効率に与える影響を検証し効果的な速読教材作成の基準を示すことである。研究1年目の本年度は「速読教材の現状を知るための教材分析」を研究課題とし、以下の調査を実施した。 レベル別速読教材は、対象レベルの目安として欧州言語共通参照枠 (CEFR) を記載していることが多い。CEFRは学習者の習熟度レベルをA1~C2の6段階で示す国際的な基準である。ただし、CEFRレベルが明示されている場合でも教材によって統制されている項目が異なる。そこで本研究は日本人学習者層の厚いA1/A2/B1レベル (初中級者) 対象の教材を、英文の読みやすさ・言語特性の観点から分析した。この結果、同じレベルとラベリングされていても、教材作成者の指針によって読みやすさにばらつきがあることが明らかになった。さらに、速読用ではない、レベル別に作成された英文読解教材との比較も試みた。研究1年目はこれからの調査の準備段階であり、研究2年目は今回の調査に基づき、同じレベルとされた英文の内、読みやすさの異なるものを使用し、その実際の読みやすさを学習者に判断させる調査を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究課題である「速読教材の現状を知るための教材分析」を実施することができた。研究成果について、2020年度に参加予定だった学会の開催が新型コロナウイルス感染症感染拡大のため見送られたことから、発表等をすることはできなかったが、調査から得られた結果については今後開催される学会等にて発表予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究2年目は「英文の読みやすさ別の速読教材が読解速度に与える影響の検討」を研究課題に調査を実施する。既に調査した内容に基づいて、英文の読みやすさ別の英文を日本人英語学習者に読解してもらい、その読解速度への影響を調査する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症感染拡大により、参加を予定していた学会等の開催が見送られたため、旅費やそれに伴う予算が支出できなかった。次年度以降、状況を見ながら参加する予定である。また、購入を検討していたオンライン教材の個人用ライセンスが使用できなかったため、他のオンライン教材の購入を再度検討する。
|