2021 Fiscal Year Research-status Report
英語学習者向け速読教材の言語特性の検討と教材作成基準の提案
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20K13108
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田中 菜採 日本大学, 経済学部, 講師 (80795005)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 速読 / 速読教材 / 読みの流暢さ / 英文の読みやすさ / 英語学習者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では英語の速読活動に用いられるレベル別教材に焦点を当てる。速読教材は一般的に読解速度を測定するために本文となる英文と、内容理解を確認するための問題が付属している。研究1年目の教材分析の結果に基づき、研究2年目の本年度は「レベル別速読教材の英文の読みやすさが読解速度に与える影響の検討」を研究課題とし、速読教材の英文の長さや使用されている語彙の使用頻度レベルが英語学習者の英文読解速度にどのように影響するかを検証した。 一般的に段階別の速読教材は対象レベルが高いほど英文が難しく、長くなる。ただ、同じ対象レベルを設定していても、教材によって長さや語彙の難易度が異なっており、英文の読みやすさに差がある。 CEFRレベルA2程度の日本人大学生対象に対して易しい・通常・難しい教材と英文の長さが短い・長い教材の条件に分け比較した。英文の長さと語彙が統制されている速読教材を用いた。英文と各5問の内容理解問題が含まれている。協力者はPC上で各条件の英文を3つずつ読解し、読解時間を各自で測定した。その後、内容理解問題5問ずつに本文を参照せずに解答した。また同様にPC上で語彙サイズテストをオンライン実施した。 この結果、語彙の難しさと英文の長さの効果がそれぞれ見られたが、英文の長さの効果については予想された結果とは反するものになった。実施方法による問題が考えられるため、今後の追調査によって原因を特定する必要がある。 速読教材では内容理解問題を本文参照なしで解くことが多いため、多くの速読教材では短めの英文を使用している。速読の練習としては、ある程度長く簡単な英文を使用すると効率的な速読になることが示唆された。 研究2年目は速読教材の英文に焦点を当てたが、研究3年目は内容理解の形式に焦点を当てた研究を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の2年目では当初予定していた調査を終え、結果を得ることができた。疑問が生じた点については2022年度に追加実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究計画2年目で疑問の生じた点について追調査を行った後、3年目の研究計画を実施する。2年目では速読教材の英文の長さの効果が予想を反する結果であった。2年目の研究では新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりオンラインで研究を実施したが、これが研究結果を歪めた懸念があるため、改めて調査を行う。さらに、3年目の研究計画である速読活動の内容理解問題による読解速度の影響についても調査を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、参加を予定していた国際学会等がオンライン開催になるなどしたため次年度使用額が生じた。2022年度は海外学会に参加する(既に海外学会で発表の採択結果を得ている)ため、国外旅費と海外学会の参加費として使用する。
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