2020 Fiscal Year Research-status Report
裁判手続のIT化と民事訴訟記録へのIT技術を通じたアクセスのあり方について
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20K13305
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
高橋 脩一 専修大学, 法学部, 准教授 (80749614)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 訴訟記録へのアクセス / 裁判手続のIT化 / アメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、新型コロナウイルスの全世界的パンデミックという未曾有の状況の中で、当初の研究計画を大きく変更せざるを得なかった。海外での現地調査ができなかったことはもちろんのこと、国内の研究協力者との打ち合わせ等も控えざるを得ない状況であった。 そのような状況の中で、当該年度においてはインターネット等でアクセス可能な判例や論文を使った文献調査を中心に行わざるを得なかった。しかしながら、思いもかけず大きな成果を得ることができた一年であった。特に、アメリカにおける民事訴訟記録へのアクセスに関する判例の研究は大きな前進を得たといえるだろう。その成果は、髙橋脩一「アメリカ合衆国における民事訴訟記録の公開とその意義に関する覚え書き : 近年の密封を巡る連邦控訴裁判所判例の考察を中心に」専修ロージャーナル第16号117-148頁(2020年)という論文へと結実し、2020年12月に公表するに至った。また、この論文を基礎にしながら州の状況も加味して日本法との比較も交えた研究成果を、9月20日にオンラインで開催された日米法学会のシンポジウム『裁判手続とIT化――情報開示と個人情報保護』において、「オンラインを通じた第三者による民事訴訟記録閲覧制度の法的根拠に関する日米比較」と題して報告を行うこともできた。裁判のIT化の中で訴訟記録の公開はどのようにあるべきか、英米の議論との比較の中であるべき方向性を模索しようとする本研究において、これらの成果は今後の研究の大きな基盤となるものである。 このように、予想外の事態によって当初の研究計画とは大きく異なるものとならざるを得なかったけれども、論文の公表及びシンポジウムでの報告を行うことができたことは、当該年度の研究における大いなる成果といえるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、新型コロナウイルスの全世界的パンデミックという未曾有の状況の中で、当初予定していたアメリカの裁判所や法律事務所を訪問しての現地調査は、直前になって中止せざるを得ない状況に追い込まれた。また、アメリカから当該分野の研究者を日本に招聘しシンポジストとして討論する予定であった日米法学会も、予定を変更せざるを得ず、予定されていた研究者の登壇も見送らざるを得ない事態となった。こうした状況は全く予期せぬものであり、当初の研究計画からは研究の内容を大きく変更せざるを得ない年度であった。 しかしながら、そのような状況の中でも着実に研究成果を積み上げることができたため、当該研究プロジェクトはおおむね順調に進展していると考えられるだろう。上記研究実績のところでも述べたように、アメリカの訴訟記録の公開の意義に関する判例の分析を行った論文を公表するに至り、またそれを基礎として日米法学会シンポジウムでの報告を行うこともできた。これらの成果は、当初の想定と異なりはすれども大きく変わらない成果であったといえるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
新年度においても、新型コロナウイルスの全世界的パンデミックという未曾有の事態は、徐々に改善方向に向かうとしても、大きく変化しないものと思われる。そのような状況下では、引き続き海外での現地調査が難しいことはもちろんのこと、国内の研究協力者との議論等もなかなか思うようには進まないという事態が想定される。 そのような中で、新年度もインターネットなど本務地で収集可能な判例や論文の分析を中心に行うことになるであろう。しかしながら、昨年度培った研究方法及びその研究成果は、新年度の研究方策にも大いなる糧となると思われる。昨年度行ったアメリカに関する分析の成果を基盤としながらも、新たに英国の訴訟記録の公開に関する議論について、文献調査を行っていきたいと考えている。特に、前年度の成果であるアメリカにおける訴訟記録公開の意義に関する議論との比較を念頭に置きながら、英国での訴訟記録の公開に関する議論状況が近年どのように展開しているのか、我が国の議論状況とも照らし合わせながら詳細に分析していくことを予定している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの全世界的パンデミックという未曾有の状況の中で、当初計画をしていた海外での現地調査及び国内の研究協力者との打ち合わせ等が全くできなくなってしまった。そのため、当初予定していた旅費しての支出について全く執行することができず、次年度使用額が生じてしまった。 ワクチンの普及など、今後新型コロナウイルスによる移動制限の影響が徐々に解消されると見込まれる。状況が許すようになれば、国内の研究協力者との打ち合わせをはじめ、海外への渡航が可能になった場合には現地調査を実現するために、予算を使用することを計画している。 また、本務地での研究体制をより一層充実させるために、IT環境の整備及び海外文献の購入などにも予算を使用していくことを計画している。さらには、海外への論文の投稿を目指して英文校正費用などにも使用していきたいと考えている。
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Research Products
(2 results)