2022 Fiscal Year Research-status Report
A Constitutional Consideration on Freedom of Contract: Modern Development of Contract Law
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20K13323
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
高橋 正明 明治学院大学, 法学部, 准教授 (50757078)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 契約の自由 / 契約規制 / 契約条項 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、比較法的見地から憲法上の契約の自由(以下「契約自由」という)の意味内容について検討をした。前年度までの研究成果を踏まえて、今年度は、当事者が締結した契約に事後的に介入する契約規制を中心に、アメリカの議論について分析を行った。 アメリカでは、アメリカ合衆国憲法第1条10節の契約条項(Contract Clause)が既に成立した契約上の債権債務関係を州が事後的に侵害することを禁止しており、事後的に契約規制を行う立法の憲法適合性について論じた判例も豊富にある。そこで、それらの判例の特徴を整理することによって、アメリカの判例における契約自由の内容について分析した。 研究の結果、近時の判例(Sveen v. Melin, 138 S. Ct. 1815 (2018))は、(i)契約の実質的侵害があるか否か、(ii)規制が適切かつ合理的であるかという2段階の審査枠組みを採用しており、(i)に関しては、契約取引を損なう程度、当事者の合理的期待への干渉の程度、当事者の権利保護を妨げる程度を総合的に考慮していることが明らかとなった。ただし、判例上、憲法上の保護が及ぶ契約の範囲は限定的に解されていることが窺える一方で、判例が契約の実質的侵害を認定する際の考慮事項にどのような重みづけをしているのかといった点はなお明確ではない。そこで、さらに時代を遡ってアメリカの議論を分析することで、契約自由の中核的内容について検討する必要があると考えるに至った。なお、近時のアメリカの判例の動向に関しては、判例評釈などの形で公表を考えている。 また、関連して、公共的な財・サービスを提供する私人による差別的な契約拒否に関する問題について論じた公表済み論文(2018年)に加筆・修正をした上で、平等原則の解釈論をテーマとする自著に再録した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年4月1日付の人事異動に伴い、校務、教育にかかる時間が想定以上に増加したため、当初予定していた研究時間が減少した。そのため、研究自体は進展しているものの、研究成果の公表に至ることができなかった。この点を踏まえて、「やや遅れている」との評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果を踏まえ、引き続き、アメリカの判例・学説の収集・読解を行い、契約自由の意味内容及び法規範性について分析するとともに、契約規制の司法審査のあり方をより明確にする。
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Causes of Carryover |
前年度に引き続き、海外調査(文献収集・意見交換)を実施できず、その分の旅費を今年度に使用することを見送ったため。今後も現地調査が困難である場合、次年度使用額は、当該調査を代替する、オンライン取引による文献収集、データベースの利用、オンラインでの意見交換などにかかる費用に充てられる。
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Research Products
(2 results)