2020 Fiscal Year Research-status Report
国家間の紛争・敵対関係と同盟ネットワークの動態分析
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20K13431
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
佐桑 健太郎 青山学院大学, 国際政治経済学部, 准教授 (30802219)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ネットワーク / エージェント・ベースト・モデリング / 海軍 / 基地 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず実証面では、安全保障のネットワークデータを構築するため、主に以下のデータ構築に集中した。
(1) 軍事費(海軍力)の横断時系列データ:書籍などの情報を活用し、RAを雇用したチーム体制で戦前の列強の海軍力データを収集した。一部はすでに分析に活用し、『青山国際政経論集』所収の論文として6月に公開予定である。(2) 列強の海外軍事基地のデータ:RAを雇用したチーム体制で米軍の政府資料などを活用して海外軍事基地の所在地と設置期間などのデータを収集し整備している。(3)米国の海外基地の配備兵力のデータ分析:米国が1946年から2010年までに同盟国に配備した兵力のデータを収集・分析し、基地を通じた米国との安保協力が紛争リスクの低減にどの程度影響するかを調査した。これまでの分析結果は論文(国内の学術雑誌にて査読中)にまとめた。
これにより、既存の安全保障協力・対立の構造が将来の国家間の関係にどう影響するかを分析する実証研究のためのデータが集まりつつある。また理論面では、ネットワーク構造と戦争拡大の関係を分析するための計算モデルを構築・改良を進めてきた。初期段階の分析結果は2020年11月の日本国際政治学会で発表するなど一定の成果が得られた。理論モデルに改良を加えて分析することで、偶発的な国家間紛争が多国間戦争にエスカレートしてしまいやすい構造的状況を同定することができるが、そのための基礎作りを進めてきたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
授業のコロナ対応などで時間を取られたり大学院生RAを雇用して進める体制が整わなかったため、基礎的作業といえるデータやモデルの改良は順調に進んでいるものの、それを積極的に活用して理論的分析を進め、成果を得ていく段階がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には計画通り進めるが、今後はこれまで構築してきたモデルやデータを運用して分析の幅を広げ、理論的な知見を得ていく段階に早めに移行することを目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ対応により海外出張が取りやめになったことや、RAチームの運用体制構築が遅れたことなどが理由。研究チーム体制を拡充し、海外への移動ができるようになり次第出張を再開する予定である。
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