2020 Fiscal Year Research-status Report
財政再建の理論分析:世代間負担の公正性および経済厚生改善化の観点から
Project/Area Number |
20K13455
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
前林 紀孝 北九州市立大学, 経済学部, 准教授 (30735733)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 財政健全化の最適スピード / 世代間厚生の公正性 / 財政再建ルール / 増税ベースVS支出削減ベース |
Outline of Annual Research Achievements |
老年世代と若年世代の間の世代間不公正の是正および経済厚生の改善という2つの観点から、財政再建を行う(累積国債残高を削減する)際にどのように財政再建を進めるのが望ましいのかという問題に対し、解析的かつ定量的分析を行った。具体的には以下の5点の分析を行った。Ⅰ.国債残高/GDPのターゲットを設け、その水準まで財政健全化をコミットするという財政規律を導入し、その際の経済の移行経路を解析的に導出した。Ⅱ.Ⅰの財政再建規律で財政再建を推し進める最適なスピードがどれくらいなのか、老年世代と若年世代という異なる世代間の厚生水準を導出し、定量的にその水準を明らかにした。Ⅲ.財政再建を行う方法として、①支出削減②増税の2ケースの比較分析(経済厚生水準の比較)を行うことでは、どちらの方法がより推奨されるのかという問題に答えた。Ⅳ.財政再建を行って財政の持続可能性が保障できる条件について明らかにした。Ⅴ. 理論的側面と数値シミュレーションによる定量的側面の両面から日本、アメリカ、ギリシャ、イタリア、ポルトガルの累積国債残高の高い国上位5か国の財政再建の効果を提示した。
これらの結果を英文論文にまとめ終えた。公の学会・国際的学術誌ではまだ発表していないため内容と結果についての記述は控える。日本経済学会での報告に応募しているが、海外へは渡航ができないため発表を遅らせている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
論文はできているがコロナ下における学会の自粛等で、論文に対する意見交換の場が減ってしまったことによるもの。また、コロナ下における子供の誕生で育児の時間の確保等による理由。
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Strategy for Future Research Activity |
国内での発表はOnline で様々に行ってコメントの収集を行いたい。それを基に論文の収集を行い、先にいくつかWorking Paperとして公表し、来年度海外での発表ができれば行い、コロナ下で無理であればOnline conferenceで行いながら、Journalに投稿する。
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Causes of Carryover |
国内外の渡航が禁止されたため。
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