2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K13474
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
阪本 浩章 神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (80758996)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 経済政策 / 気候変動 / 統合評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
開発した解析的統合評価モデルの基礎的な結果を論文としてまとめると同時に,モデルをさらに改善する研究や,経済分析に応用する研究を進めた.気候モジュールについては,CMIP6(第6期モデル相互比較プロジェクト)の実験データに基づいてカリブレーションを実施した.炭素循環については,Joos et al (2013)の実験結果に基づき,フィードバック効果を捉えるためのパラメタリゼーションを行った.結果として,解析的統合評価モデルであっても,数値計算を前提とした簡易気候モデルと同程度に,大気海洋大循環モデルや地球システムモデルの集計的な振る舞いを再現できることを確認した.応用例として,解析的統合評価モデルに基づく炭素の社会的費用の推定を実施した.線形モデルを仮定した場合と比較して,炭素の社会的費用が3割ほど大きくなることが分かった.さらに,従来の解析的統合評価モデルでは考慮することが難しかった技術変化をモデルに導入し,摂動理論に基づく近似解析解を求めた.結果として,将来に開発されることが見込まれる脱炭素技術によって,現時点の炭素の社会的費用は低下することが分かった.ただし,技術変化の影響はそれほど大きいものではなく,フィードバック効果を相殺するほどではないことも分かった.また,研究課題の総まとめとして,国内外から10名程度の研究者を招聘して気候変動の経済学に関する国際ワークショップを開催した.
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