2020 Fiscal Year Research-status Report
都市構造の違いがもたらす基礎自治体財政収支への影響
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20K13491
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
関口 駿輔 石巻専修大学, 経営学部, 准教授 (10711252)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コンパクトシティ / 基礎自治体 / 公共施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンパクト・シティ政策に対しては、都市機能及び人口分布の集約化を通して、一人当たりの財政負担の軽減が期待されている。しかしながら、基礎自治体における都市のコンパクト度をどのように定義するのかについて、一般化がなされていないこともあり、一部の既往研究を除き、都市構造の違いがもたらす基礎自治体財政への研究蓄積は限られている。加えて、既往研究は基礎自治体財政の歳出面からの評価が主であり、歳入も考慮した財政収支についての評価はなされていないのが現状である。 そこで、本研究では基礎自治体の都市構造を把握する指標として、人口分布・公共施設配置・地理的条件の3点に着目した定義を行う。その上で、都市構造の違いがもたらす基礎自治体財政収支への影響について、歳出関数と歳入関数をそれぞれ推定することにより、経済学の考え方に基づいて定量的な評価を行う。 本年度は主に、基礎自治体の財政状況について調査するとともに、公共施設等配置状況に関して、条件不利地とされる離島における公共施設等立地状況を調査した。とりわけ水処理方法については、河川を有する離島ではダムを整備し、本島と同等の水処理が行われているが、河川を持たない離島の場合、海水淡水化による水供給や地下ダム整備による水供給など様々な方法が採用されていることが知られている。このことを踏まえて、生活を維持するうえで不可欠な生活基盤インフラの一つである水処理施設について、離島ごとに整備されている状況や水処理方法が離島毎に異なる現状を調査した。 研究成果の一つとして、学術誌「公共選択」に寄稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は主に、基礎自治体の財政状況について調査するとともに、公共施設等配置状況について、条件不利地とされる離島における公共施設等立地状況を調査した。とりわけ水処理の方法について実地調査を行った。このことにより、全国一律で基礎自治体財政モデルを設定することは現実を正しく反映していない可能性が分かった。 以上の調査を踏まえて研究成果の一つとして、学術誌「公共選択」に寄稿を行っており、初年度の研究の達成度としては一定程度進展していると考えられる。 一方で、COVID-19の影響があり海外の先進地視察や国際会議や国際学会報告ができなかったことに加え、学生アルバイトにデータの入力等の業務を依頼する計画であったが、感染防止の観点から対面での作業指示や作業確認が難しかったことから、データの整備について計画よりもやや遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、条件不利地とされる離島に関する実地調査を行うとともに、現実を適切に反映した基礎自治体財政モデルの設定に取り組み、実証分析を行っていく。 国内外の学術誌をはじめとする査読付論文としてまとめ、投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19により海外にて開催される国際会議・学会への参加や海外の先進事例の視察ができなかった。このことから旅費の支出が予定額を下回った。また、これに伴う英文校正費用も下回ったほか、感染拡大防止の観点から学生アルバイトを依頼することが難しかったことから人件費の支出も予定額を下回る結果となった。学生アルバイトへのデータ入力等の作業が遅れたため、これに伴い必要なデータ解析・整備ソフトに係る消耗品費等の支出も予定額を下回る結果となった。
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