2022 Fiscal Year Research-status Report
How traditional gender norm is maintained in the process of commercializing intimate life
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20K13612
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
織田 由美子 名古屋商科大学, 商学部, 准教授 (10867716)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 制度論 / 制度ロジック / ジェンダー / ロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、結婚や育児、介護等、プライベート領域の市場化において、伝統的なジェンダー規範が維持されるプロセスについて、市場で活用されるテク ノロジーなど物質性の影響という観点から明らかにすることである。より具体的には、恋愛や結婚、または掃除や洗濯など家事に関わる実践が市場化され、普及する一方で、伝統的なジェンダー規範が維持されるプロセスを明らかにするということであった。 このような研究目的に対し、当該年度の研究計画においては、①先行研究のレビューとリサーチギャップの抽出を行うこと、②「実践(サービス)」の普及に関する事例として、「婚活」を活用した事例研究を行うこと、③「商品」の普及に関する事例として「ロボット掃除機」に関する事例研究を行うことを掲げた。①については消費研究に関する国内外の関連論文、特に制度論、制度ロジック、ジェンダー規範に関する論文を読み込み、そこで明らかになったリサーチギャップについて、②、及び③にあげた事例研究を行った。 具体的には、ジェンダー平等や女性活躍といった既存のジェンダー規範を変えようとする社会的な取り組みが、世の中に受け入れられていくプロセスにおいて、ジェンダー規範がむしろ維持(強化)されるプロセスについて、市場における企業や そこで提供されるサービスとの 関連から明らかにした。 研究成果について、本年度は②「婚活」の事例研究について、Academy of Management Discoveriesに投稿した。また、③「ロボット掃除機」に関する事例研究では、人とのロボットの 相互作用がジェンダー規範に与える影響についての研究を進めており、すでにユーザーへのデプスインタビューを完了し、コーディングまで完了した。研究成果については、消費者行動研究会、Consumer Culture Theory Conferenceにおいて学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ロボット掃除機の事例研究について、昨年度の修正案に従い、オンラインによるユーザーインタビューは完了し、データのコーディングまでを完了した。それ以外のSNS分析やこれらを踏まえた仮説構築、アンケート実施において時間を要している。 成果の発表については、学会発表により、フィードバックは得ているものの、最終的な論文執筆に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
「婚活」の事例研究については、すでに海外ジャーナルに投稿を完了しているため、フィードバックをもとに修正等の対応を行う。 「ロボット掃除機」の事例研究については、制度ロジックと物質性を主要概念として、消費者がロボットを受容するプロセスについて、インタビュー調査をもとに研究を行った。成果については、すでに国内外の学会にて発表を行い、フィードバックを受けているため、本年度は、論文投稿を完了したい。また、分析途中であるSNS分析(Twitterの言説分析)、アンケート分析については、改めて仮説構築を行った上で、調査を実施する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は3点ある。第1に、海外学会の開催がオンラインにて行われた、第2に論文投稿の遅延により翻訳費が発生しなかったこと、第3にアンケート調査の実施が遅れていることである。このたんについては2023年度以降に実施していきたい。
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