2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K13681
|
Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
須永 将史 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (90783457)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 会話分析 / 家族規範 / ケア / ジェンダー / 家庭医 / 身体接触 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,医療診察場面における家族規範の反映を解明することにある.「家庭医の診察場面」および「被災地での糖尿病の診察場面」における相互行為を経験的に分析し比較することで,性別規範・家族規範はどう現れているのか,それを参加者は相互行為のなかでどう受け止めどう処理するのか,を明らかにすることである.2020年度は,これまでの学会発表などでのフィードバックを踏まえ,収集したデータを聖地に分析し,論文執筆を試みた(2件).また,新しい分析の視点を加え新規で学会発表をおこなった(1件). (1) 医療マッサージの相互行為を分析し,相互行為のなかで痛みがどのように取り扱われるのかを分析した.施術者は相手に痛みを尋ねる際に質問のための発言を組み立てる.そのとき,YES/NOの疑問文を使うことが多いが,その極性はどのように相互行為的環境のなかで選ばれているのか,そのプロセスを分析した.(2) 家庭医の診察場面の冒頭で,「ちょっと先生さきに相談あるんだけど」と患者が切り出す場面を会話分析によって解明した.このように切り出すことで,患者は,「診察」という全体的構造をもった活動の中で,自身の相談をどのように位置づけているのか,そして医師はその相談をどのように取り扱うのか,分析した. また学会発表では,子育てについて話し合うワークショップの中で,「こども」をどのように語るのか,そこに参加者の家族規範はどのように見いだせるのか,分析した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
covid-19の影響で,新規の調査をすることはできず,データの件数は増えなかった.しかしながら,これまで収集したデータを分析することで,今後の研究基盤を形成することができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度執筆した論文,および行った学会発表を基盤に,さらに論文を執筆していく次第である.
|
Causes of Carryover |
covid-19の感染拡大により,国内外の移動ができず,旅費として計上していた予算が執行できなかった.次年度中にこの状況が改善されれば,協力先への訪問と学会参加のための旅費に充てる.また,英文論文のネイティブチェックおよびデータの文字化のための謝金,データ分析用の機器の購入等に使用する予定である.
|
Research Products
(3 results)