2020 Fiscal Year Research-status Report
Kuomintang Soldiers' Life Experience in Taiwan's Authoritarian Era: From 1949 to 1987
Project/Area Number |
20K13711
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
張 龍龍 早稲田大学, 文学学術院, 助教 (80844141)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 台湾大撤退 / 青年兵士 / 権威主義体制 / 成人移行期 / 生活過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1949年に台湾へ渡った、当時20歳から25 歳まで(1924年から1929年まで出生)中国国民党兵士を研究対象とする。以下、彼らを<青年兵士>と記す。本研究の目的は、これまでの90年にわたる<青年兵士>のライフコースを研究射程に入れつつ、とりわけ 1949 年(大撤退、戒厳令布告)から1987 年(戒厳令解除)にいたる<青年兵士>の生活過程を記述し、その動態をマクロ次元での権威主義体制展開と、ミクロ次元での<青年兵士>と戦友・家族による生活戦略の両者から説明することにある。 権威主義体制を概観すると、とりわけ1949年から1959 年まで法令や制度は著しく変化した。こうした研究プロジェクトのなかで、2020年度において、筆者は、主に1949 年から1959年の<青年兵士>の成人移行期における生活過程を、台湾当局による権威主義体制の進展と連結しながら解明した。 1950年代、台湾当局は、「保衛台湾と大陸反攻」を実現させるために、5年以内の「大陸反攻」達成という標語の宣伝に加え、政工制度、禁婚令を実施した。これらの標語や制度、法令がいずれも台湾に渡った国民党軍を直接対象とし、とりわけ成人移行期にある<青年兵士>の思想と行動を極度に束縛した。「大陸反攻」標語、政工制度、禁婚令、半ば強制的な「希望留営」の募集は、<青年兵士>が20代から30 代前半で経験すべき退役、就職、家族形成などのライフイベントを10年以上遅らせた。権威主義体制と、それによる<青年兵士>の不安定な生活と意識は、彼らの人生設計にもっとも重要な時期を無駄にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020 年3月以来、新型コロナウイルスの影響により、台湾現地へ行くことができなくなってしまった。しかし、調査対象者(<青年兵士>)の子どもたちのご協力を得ながら、90 歳以上の<青年兵士>に対してオンライン・インタビュー調査を続けてきた。2020年度、24 回のオンライン調査を経て、<青年兵士>3名、<青年兵士>の妻1名、子ども2名の人生経験を聞き取ることができた。また大量の貴重な写真を収集した。おおむね、調査研究を順調に進めていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスが終息する見込みがみえないなか、昨年度の調査方式(オンライン・インタビュー)を継続する予定である。コロナ禍が終息次第、台湾へ渡航し、現地調査を展開する。
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