2021 Fiscal Year Research-status Report
Construct social infrastructure for the visually disabled peaple to go out
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20K13767
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
青木 慎太朗 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 都市研究プラザ特別研究員 (80867838)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 視覚障害 / 外出 / 同行援護 / 福祉制度 / 福祉政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚障害者の外出環境が新型コロナウイルスの感染拡大に伴い変化し、当研究も甚大な影響を受けることとなった。 視覚障害者の外出を公的に保障する福祉制度である同行援護は、通勤や営業活動等での利用を認めておらず、結果として、単独での通勤が困難な視覚障害者を雇用の場から遠ざけている現状がある。また、視覚障害者の職業として多くを占めるあんま・はり・きゅう、マッサージ業において、自営で開業している人たちは、近年、晴眼者(視覚障害の無い人)が車などの機動力を活かした営業を展開する中で、患者宅を訪問できないことによって仕事が奪われ続け、結果的に収入の減少を招いている。 こうした状況を打開すべく、令和2年10月から、「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」が開始され、同行援護の対象となる重度視覚障害者に対する通勤や営業活動に対する公的支援の体制が整備され始めた。就労と福祉をつなぐ新たな制度に対する期待は大きかったが、障害者総合支援法の地域生活支援事業の任意事業に位置づけられたことから、その実施は各市町村の裁量にゆだねられることとなり、制度が始まったものの、ほとんど利用が進んでいない状況であった。 そんな中、ごく一部の自治体で、この制度を利用して就労している視覚障害者が現れたため、利用者本人や支援者、ご家族らを対象に状況調査を行い、制度利用の利点と、今後の課題等について整理した。この内容は、NHKの番組でも取り上げられ、研究成果を番組内で紹介することができた。今後、多くの自治体で利用が進むことを期待している。 また、単独で外出する視覚障害者の問題について、これまでは駅ホーム転落事故を中心に研究を進めてきたが、それ以外の外出環境について、どのような問題を感じているか、コロナ禍でどのような影響が出ているか等の聞き取り、視覚障害への配慮が不十分であることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大により、政府から「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」が繰り返し発出され、大学でも、これに従う形で出張等の自粛が要請されたため、現地調査等が十分に実施できていない。 また、外出自体が制限されている状況下において、視覚障害者の外出を主題とした本研究は著しい制約を受けている。高齢や基礎疾患を有する者の多い視覚障害者は、団体行事等が軒並み中止されており、外出に関する状況把握やヒアリングができる状況ではない。 研究の打ち合わせ等については、オンライン会議システムを使いながら進めているが、国や都道府県からの外出自粛によって自分自身の移動自体が制限されていることから、研究活動が著しく制約を受け、思うように捗っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れを取り戻しながら当初予定の研究を実施したいと考えている。 ただ、現状において、新型コロナウイルスの感染が終息したとは言えず、諸外国の情勢から再拡大も懸念されている状況下で、果たして研究活動が継続できるかという不安がぬぐい去れない。 新型コロナウイルスの感染拡大状況に合わせ、研究計画の内容自体を変更せざるを得ない可能性もあり、状況を見ながら判断していきたい。 具体的には、オンライン形式の行事が増えているため、そうした機会を利用しながら意見を集約し、あるいは、調査活動を行うことを検討している。 また、視覚障害者の外出という点で考えた場合に、これまで福祉制度と駅ホーム転落事故を中心に検討してきたが、次年度は、駅ホームに限定せず、街中、歩道や信号、踏切の安全など、より領野を広げた形で、視覚障害者の外出環境の問題や課題を整理し、本研究の主題である視覚障害者の外出においてどのような社会基盤が求められるか?という問いについて、具体的に検証作業を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により、外出に関わる調査研究が著しく制約を受けたこと、並びに、研究に関わる打ち合わせ等にテレビ会議システムを利用したことが主たる理由である。 次年度は、部分的にオンラインも活用した形で作業を進める等の工夫をしていきたい。 また、新型コロナウイルスの感染拡大状況を見据えながら、感染拡大が落ち着いていれば、現地に出向いた調査活動も行っていきたい。
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