2021 Fiscal Year Research-status Report
へき地教育における学校統廃合基準の日・英・NZ制度比較研究
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20K13857
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Research Institution | Matsumoto University |
Principal Investigator |
御代田 桜子 松本大学, 教育学部, 講師 (60868199)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 学校統廃合 / へき地教育 / 教育財政 / 学校規模 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学校統廃合基準やそれを構成する学校規模、学級規模がどのような基準に基づき算定されているのか、へき地教育の振興方策としての学校予算配分システムはどのような仕組みであるのか、またそれは地域の偏在化にどのように対応しているのか、を問いとして設定している。 本年度は、昨年に引き続き日本におけるへき地教育振興法制の検討を進めた。まず、日本におけるへき地学校(級地)指定基準を示したへき地教育振興法の成立と学校統廃合との関連について、学校基本調査等を用いて学校統廃合の発生件数を照らし合わせる作業を行った。また、昭和29(1954)年の中央教育審議会総会速記録などを読み解く作業を行った。へき地解消と学校統廃合とがどのような説明論理を用いて実施されたのかについては、地域資料などを用いて今後調査を進めていく必要があるだろう。 また、近年のへき地における学校統廃合については、義務教育学校の開設や施設の適正化、集合化といった学校統廃合における一般的な論理だけでは説明が不十分であるため、へき地における固有の状況、条件等の傾向をつかむことが必要となる。そのため、へき地級の学校を有する市町村のリストを作成し、へき地における学校再編計画の策定状況の調査を進めた。 海外比較研究に関わっては、へき地における教育条件整備を考えるためには、均等配分と必要配分を組み合わせた形の教育財政システムが有効であるとの仮説を持ち、そういった教育財政システムを有する国を調査した先行研究などを可能な範囲で収集した。特に、個別学校ごとのニーズなどをいかにして算定するのかという点が今後の注目ポイントとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVIT-19の感染拡大により海外調査の実施が困難であったため当初の計画を変更した。また、研究中断期間もあり本年度の研究実施は2ヶ月間であったため、当初予定していたニュージーランドとイギリス(スコットランド)における学校予算配分の制度的特質や歴史的経緯についての情報取集は、部分的に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、へき地を多く抱える市町村に着目し、学校統廃合の実施状況や学校再編計画の策定状況を調査する。それらを踏まえ、学校の設置・廃止に関わる学校統廃合基準を各地でどのように設定し、運用してきたのかを明らかにする。特に、特徴的な自治体として、長野県松本市や飯田市、栄村、野沢温泉村などのケースについて調査研究する予定である。 また、これまでに実施してきているニュージーランドとイギリス(スコットランド)における学校予算配分制度についての調査研究をさらに進め、メールでのヒアリング調査を実施する。
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Causes of Carryover |
COVIT-19の感染拡大の影響や研究代表者の都合による研究中断により、本年度行う予定だった海外調査、国内調査を次年度以降に延期したため、調査旅費と調査に伴うデータ整理のための人件費の使用がなく、次年度使用額が生じた。 今後は、地域資料の収集と分析のために必要な物品費、人件費等を支出する予定である。また、特徴的な自治体として、長野県松本市や飯田市、栄村、野沢温泉村などの調査のための旅費、謝金としての使用を計画している。さらに、ニュージーランドとイギリス(スコットランド)に関する資料収集やメールでのヒアリング調査に際しての諸費用も想定している。
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