2021 Fiscal Year Research-status Report
Developing Educational Methods for Fostering Critical Thinking Skills in EFL: Focusing on the International Baccalaureate English Courses
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20K13884
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
赤塚 祐哉 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (30760748)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教材開発 / 英語難易度の判定 / 欧州言語参照枠 / 批判的思考態度 / 国際バカロレア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、批判的思考育成につながる英語授業における教育方法を、学術的な裏付けに基づき開発することである。そのために、批判的思考育成を主目的の1つとする国際バカロレア(International Baccalaureate; IB) の学習理論に着目し、IBにおける核となる理論の抽出と、それらの理論を適用した実践から得られた知見を検証することとしている。2021年度研究では、IBにおける批判的思考指導に係る教育理論と高等学校学習指導要領の趣旨の両方を踏まえた教材開発を行った。そして、教材を使用して指導した結果を、英語難易度判定の指標とテキストマイニングにより分析した。その結果、次の4点を明らかにできた。 ①IBでは、批判的思考指導の方略として、教師からの問いへの応答といった形式を採用していること、②高等学校外国語学習指導要領においては、批判的思考の主要6要素が確認できること、③開発した英語教材の英語難易度は欧州言語参照枠(CEFR)のB2下位レベルであり、とりわけB1からB2レベルの学習者において肯定的に捉えられていたこと、④クラスメートとの対話が促されたことにより、学習者の批判的思考の深まりに良い影響を与えている可能性が示唆されたこと、である。 一方、主な課題として, 批判的思考の1要素である他者の視点への気づきや、それに対して反駁する態度への深まりが確認できず、開発された教材を使用した指導では、学習者が情報を鵜呑みにしている可能性も示唆された。 なお、2021年度は2020年度に引き続き、新型コロナウィルス感染拡大による影響で台湾・英国での現地調査を中止した。そのため、国内の高等学校での調査を中心とした研究に切り替え、授業から得られた知見を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大が収束せず、海外での授業の参与観察や実地調査は見送った。一方、IBの教育理論を適用した英語教材の開発への着手とその検証について、当初の計画よりも前倒しで実施できた。これによって、教材の精度を高められたと同時に、指導方法の検討も精緻に行うことができた。その結果、新たな教育方法に基づく英語教材の出版化の決定(出版企画の採択)及び研究の成果をまとめた学術図書(共著)の企画採択につなげることができた。以上により本研究は概ね順調に進展している、と判断できる。 なお、2021年度の研究成果として、以下に論考が採録された。 赤塚祐哉「批判的思考育成を目的とした英語教材開発の試み―国際バカロレアの批判的思考指導の方略に着目して―」『言語学習と教育言語学 2021年度版』pp. 1-12,日本英語教育学会・日本教育言語学会合同編集委員会編集,早稲田大学情報教育研究所発行, 2022年3月31日.
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Strategy for Future Research Activity |
赤塚祐哉(2022)「批判的思考育成を目的とした英語教材開発の試み―国際バカロレアの批判的思考指導の方略に着目して―」『言語学習と教育言語学 2021年度版』pp. 1-12にdで告した研究成果において、1) 開発した英語教材はCEFR A2レベルの学習者にとっては英語習得上の負荷が高いこと、2) 批判的思考の1要素である反論・反駁といった態度の深まりが確認できず、題材における主張を学習者が鵜呑みにしている傾向が見られたことの2点を指摘し、これらの課題解決が今後の研究課題となる。 そこで、これらの課題を踏まえ、2022年度の研究では、英語教材の開発にあたっては、IBの批判的思考に係る教育理論をベースとしながらも、Uchida & Negishi(2018)により開発されたCEFR-based Vocabulary Level Analyzer(ver.2.0)などを用いながら、英語難易度の検証と調整を行う。加えて、学習者が題材における主張を鵜呑みにしないよう支援するため、新たに学ぶ知識と既存の知識を対立させることにより、学習者の思考を深めていくといくことができるとしたOtero and Graesser(2001)の知識対立理論に基づく問いを加えること等を検討したい。そのために、国内の高等学校(複数校)において、修正版教材を活用した実践を行って頂き、教育方法の効果について定量的・定性的に分析を加えていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、国内外の出張を控えたことによる。
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