2020 Fiscal Year Research-status Report
東アジア社会における教育訓練システムと格差の生成に関する研究
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20K13910
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小川 和孝 東北大学, 文学研究科, 准教授 (80734798)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 教育訓練システム / 社会的不平等 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は日本・韓国・台湾という東アジア社会における社会的格差の生成プロセスの差異に関して、教育訓練システムのマクロ的な特徴から明らかにすることにある。特に、東アジア社会において一般的に大きいとされるジェンダー格差と、高学歴化・不安定労働の拡大の関連に焦点をあてる。 3年間の補助事業期間の1年目にあたる今年度は、新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、当初予定されていた海外出張が中止になるなどの変更が生じた。本研究課題では、社会調査データの二次分析が主な研究方法となるため、研究計画の根本に修正が必要ではなく、オンラインの研究会などによって途中成果の報告を行うことができた。 具体的な研究実績としては、日本教育社会学会大会において、「地位達成における社会階層の交差性」というタイトルで報告を行った。社会階層は人々が持つ様々な属性から単に加法的に構成されるのではなく、それぞれの属性が複雑に相互作用することが理論的には想定されてきた。これを階層ベイズモデルと呼ばれるフレームワークによって、日本の社会調査データを用いて実証的に検討した。この手法により、社会的属性を加法的に考慮するだけでは見落としてしまうような不平等の異質性がどの程度にあるかを数量的に示した。 またパネルデータを用いた方法論的な検討として、事後層化ウェイトによるサンプルの偏りの補正について検討をした。基本的な属性変数のそれぞれの周辺分布について、母集団を反映しているとみなしたベンチマーク統計に一致するするように、rakingと呼ばれる反復調整の手法を適用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属が変わり、新たな勤務先での業務や、オンライン授業への対応などによって、本研究課題に割けるエフォートが十分でなかったことが理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も海外出張が可能になる目処はついていないものの、オンラインで他の研究者との情報交換を行う環境や機会が以前より増えたため、それを活かして成果発表のために取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、予定していた海外出張がなくなったため。
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