2021 Fiscal Year Research-status Report
東アジア社会における教育訓練システムと格差の生成に関する研究
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20K13910
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小川 和孝 東北大学, 文学研究科, 准教授 (80734798)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 社会階層 / 教育システム / 東アジア / 不平等 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年間の補助事業期間の2年目にあたる当該年度は、日本と台湾を人々を対象としたパネル調査の分析を進めた。 6月に東京大学社会科学研究所によってオンライン開催された日本・韓国・台湾の研究者による国際会議では、“A Longitudinal Analysis of Occupational Mobility in Japan and Taiwan”というタイトルで、日本・台湾の職業移動に関する報告を行った。また、この報告成果に一部基づき、"Occupational Segregation by gender and education in Japan and Taiwan"と題した論文を執筆した。この論文では、相互情報量指数という尺度に基づいて日本・台湾の両社会において、性別と学歴の相互作用による職業分離への影響を分析した。この論文が掲載される英文書籍が今後刊行予定である。 12月に中京大学の松田茂樹教授によって主催された公開セミナーでは、「職業軌跡の日台比較」というタイトルで報告を行った。本報告は潜在クラス成長分析(Latent Class Growth Analysis)という方法によって、日本・台湾の両社会における職業的地位の変化パターンを分析した。その結果として、(1)日本・台湾ともに、上位・中位・下位の地位の職業軌跡のグループに分かれており、それぞれのグループの間の格差はライフコースを通じて維持されている、(2)日本・台湾ともに女性は、中位にくらべて上位・下位グループのどちらにも属しにくい、(3)学歴と職業軌跡との関連は、日本よりも台湾においてより強い、といったことを明らかにした。今後この成果に基づいた論文を執筆する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの蔓延により出張や研究交流などに引き続き影響が続いているものの、当該年度は一定の成果を出せたため、進捗状況について標記の評価をした。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は研究課題期間の最終年度にあたる。昨年度までの進捗に基づき、さらなる成果を出すことを目指していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により学会発表などの出張がなかったため、残額が生じた。今後は対面での学会が増える見込みなので、その支出にあてる。
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Research Products
(4 results)