2020 Fiscal Year Research-status Report
小中学生における発達障害特性とソーシャル・キャピタルと抑うつ/QOLとの関連
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20K14043
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
森 裕幸 弘前大学, 医学研究科, 特任助手 (60848307)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ソーシャル・キャピタル / 社会資源 / 小学生 / 中学生 / 思春期 / 抑うつ / QoL / メンタルヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、発達障害特性を有する児童生徒においてソーシャル・キャピタルが抑うつの保護因子や生活の質(Quality of Life; QoL)を高める効果があるのかを明らかにすることを目的とする。 児童思春期におけるソーシャル・キャピタルと抑うつ、QoLとの関連について国際的に研究が少ない。さらに、ソーシャル・キャピタルを測定する尺度として妥当性及び信頼性が検証された尺度を使用した研究はほとんどない。そのため、初年度は妥当性及び信頼性が検証されたSocial Capital Questionnaire for Adolescent Students (SCQ-AS) の日本版を使用し、小学生3,722名、中学生3,987名を対象にソーシャル・キャピタルと抑うつ、QoLの関連について検証を行った。また、先行研究より児童と思春期によるソーシャル・キャピタルの関連に違いが示唆されていることから、小学生と中学生の校種におけるソーシャル・キャピタルの関連についても検証した。その結果、ソーシャル・キャピタルが高いほど抑うつ症状が低く、QoLが高くなる結果が示された。全ての下位因子(学校:地域:安全感)が抑うつとQoLに関連しており、中でも学校ソーシャル・キャピタルが最も強い関連を示していた。また、各下位因子と校種において交互作用が見られた。中学生は小学生よりも学校SCが高くなるほど抑うつが低くなりやすく、小学生は中学生よりも学校SCが高くなるほど、QoLが高くなりやすいことがわかった。加えて、小学生は中学生より地域SCが高いほど、QoLが高くなりやすいこともわかり、小中学生のメンタルヘルスに与えるSCの影響が異なることが示唆された。これらのことから、SCの中でも学校SCが児童青年期におけるメンタルヘルスの問題を減少させることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の通り、ソーシャル・キャピタルが児童思春期のメンタルヘルスの問題を減少させることが示唆され、発達障害特性を有する子どもたちにとっても同様の結果が得られることが期待される。当初の計画通り、一連の研究過程が進行していると判断できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、学校コホート調査から得られるデータと前年度までに取得したデータと接続し、発達障害特性とソーシャル・キャピタルと抑うつ、QoLの関連について検証を行う予定である。ただし、現在、新型コロナウイルスの影響で当初予定していた形式での学校コホート調査の実施が難しい状況にある。実施形式については、今後の社会状況も踏まえつつ、可能な範囲で調査及び本課題を遂行する計画を立てている。
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Causes of Carryover |
参加する予定だった国内及び国際学会がオンライン開催もしくは延期になったことにより、旅費の使用予定に変更が生じた。また、新型コロナウイルス感染症に伴い、調査の実施方法や実施時期に変更が生じたため、それに伴い人件費や物品の使用予定にも変更があった。次年度は、当初予定していた国内及び国際学会への参加を行うことに加え、学会参加の予定がずれ込んだため、論文の執筆活動が予定以上に進んだため執筆中の論文をオープンジャーナルへの投稿に切り替え、本研究成果を広く活用できるように使用予定を変更する。
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Research Products
(2 results)