2021 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症児の自立を促すセルフモニタリングアプリの開発と評価
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20K14052
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
半田 健 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (90756008)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / セルフモニタリング / アプリ開発 / 学校 / 実施可能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自閉スペクトラム症(ASD)児を対象に、日本の学校場面において実施可能なセルフモニタリングアプリを開発し、その効果を明らかにするとともに、効果が促進される手続きを検証することを目的としている。 研究1は、小学校の特別支援学級担任を対象に、セルフモニタリングアプリの使用感の調査を行い、学校で実施可能なセルフモニタリングアプリを開発することを目的とした。 アプリは、昨年度、企業とデモ版アプリを開発した。アプリの仕様は次の通りである。(ア)ログイン画面において、児童生徒の名前、コース(漢字、数学など)を選択し、パスワードを入力する。(イ)セルフモニタリングを行う頻度や時間などを設定すれば、セルフモニタリングが開始される。(ウ)セルフモニタリングが終了すれば、児童生徒のモニタリング結果がグラフ化される。(エ)管理者(特別支援学級担任)は、管理画面において、児童生徒の名前やコース、各パスワードを設定でき、児童生徒のこれまでのモニタリング結果を確認することができる 今年度は、デモ版アプリの使用感を調査し、アプリを完成させることを目指した。調査対象者は、小学校の自閉症・情緒障害特別支援学級担任2名であった。2名とも教職経験年数が18年以上であり、特別支援学級担任の経験年数も7年以上であった。調査手続きは、研究代表者が調査協力者にデモ版アプリをインストールしたタブレットを貸与し、調査協力者が特別支援学級に在籍するASD児に対してアプリを2週間使用した。その後、調査協力者は使用感に関する質問紙に回答した。質問紙はSUS(System Usability Scale)を用いて、デザイン、システム、機能の観点から評価した。その結果、2名の調査対象者より、概ね肯定的な評価を得た。調査後、研究代表者は、企業とアプリの最終調整を行い、令和4年4月にアプリをストアに無償公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本国内のコロナウイルス感染拡大に伴い、学校での調査や介入に関する協力が継続的に得られにくい状況にあった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、小学校においてASD児を対象に、セルフモニタリングアプリを用いた支援の効果を検証する(研究2)。また、セルフモニタリングアプリの効果が促進される手続きとして、注意のセルフモニタリング手続きと成果のセルフモニタリング手続きによる効果を比較検証する(研究3)。さらに、当初は計画していなかったが、セルフモニタリングアプリの効果が促進される手続きとして、記録するタイミングの固定間隔手続きと変動間隔手続きによる効果を比較検証する(研究4)。これはアプリ開発を行う中で得られたアイデアであり、本研究の知見をより有益にするものである。 ただし、次年度以降もコロナウイルス感染拡大の影響を受けることが予想される。そのため、研究協力を依頼する教師や学校に過度の負担を与えないよう配慮しながら、研究の優先度を検討しながら推進する必要がある。
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Causes of Carryover |
日本国内のコロナウイルス感染拡大に伴い、学校での調査や介入に関する協力が継続的に得られにくい状況にあったため、研究の進捗が予定よりも遅れている。それに伴い、研究成果の学会発表に係る旅費・大会参加費、論文執筆に係る翻訳費・英文校正費が生じていないことから、次年度使用額が生じた。 翌年度は、介入研究も始まることから、旅費や物品費、研究成果の論文執筆等で予算を執行する。
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Remarks |
App StoreにiPhoneとiPad対応の「チャレレコ(チャレンジレコード)」というアプリを無償公開した。
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