2020 Fiscal Year Research-status Report
「卓越した大学教員」が有する教授能力とその形成プロセスに関する研究
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20K14080
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
根岸 千悠 大阪大学, 全学教育推進機構, 特任助教(常勤) (60726610)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大学教員 / 教授能力開発 / 大学教育 / 卓越性 / 大学教授職 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、優れた教授活動を行う、「卓越した大学教員」が有する教授能力を調査分析した上で、その能力の形成プロセスを解明することで、大学教員に求められる教授能力を明らかにすることである。「卓越した大学教員」が有する能力に関する質問紙調査ならびに「卓越した大学教員」に対するインタビュー調査等を実施し、質的・量的双方の調査結果に基づき、大学教員に求められる教授能力を同定することを目指している。 初年度である2020年度は、主として、(1)日本の大学教員に求められる教授能力の検討、(2)「卓越した大学教員」に対する大学生の認識に関する予備的調査、を中心に実施した。 (1)初等中等教育における教師の専門的能力(実践的知識や資質能力)に関する研究や、大学教育における教員の教授能力に関する研究、海外における教育賞受賞者などの「卓越した大学教員」(Model Teacher、Best Professorなど)を対象とした研究等を概観した。初等中等教育と大学教育では、授業設計や授業環境が異なるため、日本の大学教育の特性に基づき、大学教員に求められる教授能力について検討した。 (2)アメリカでは、優れた教授活動を促す大学教員の行動を決定づけるために「教員の行動チェックリスト(Teacher Behaviors Checklist:以下TBC)」が開発されている。本研究課題では、このTBCを翻訳し、その項目と自由記述を含めた質問紙調査を、大学生を対象に実施し、先行研究と比較分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は上記のように、文献レビューと質問紙調査を実施することができ、おおむね計画通り進めることができた。また2020年度は新型コロナウイルス感染症により、オンライン授業が余儀なくされたが、オンライン授業における実践事例の収集を行い、オンラインにおける大学教員の教授活動の工夫点を検討することもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、2020年度に得られた研究成果をもとに、「卓越した大学教員」に対する認識について、大学や学年、分野により違いがあるかなどの調査・検討を続けるとともに、インタビュー等の質的調査も行い、大学教員の卓越性を探っていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外の学会の大会や研究会の多くがオンライン開催もしくは中止であったため、計上していた旅費の利用が計画よりもおさえられた。2021年度も旅費が少なくなることが見込まれるが、ウェブ調査など調査費用に使用する予定である。
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Research Products
(7 results)