2020 Fiscal Year Research-status Report
再評価による感情制御の経験が評価コンピテンスの形成に与える影響
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20K14133
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
榊原 良太 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (80778910)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 認知的感情制御 / 評価コンピテンス / 二次分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、認知的感情制御を測定する尺度(CERQ)の日本語版の改訂を行った。この尺度は、2015年の研究において作成されたものであるが、項目表現上の問題などが指摘されることから、改めて厳密なバックトランスレーションの手続きを踏んで改訂版を作成した。日本人サンプル約700名を対象とした調査を実施したところ、改訂版の尺度は旧版よりもわずかに適合度が改善したことが示された。既に分析と結果のまとめが完了しており、論文化に向けて執筆を行っているところである。また、個人の評価コンピテンスを測定するための尺度作成を当初行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により、対面での調査が困難となり、作業を進めることはできなかった。ただし、評価コンピテンスという概念に関する理論的な考察は進めており、2020年3月には感情哲学に関する研究会にて、その成果を発表している。現在はUusberg et al.(2019)の評価ベクトルという視点を参考にしながら、「再評価→評価コンピテンスの変化」というメカニズムに関する理論構築を行っている。さらに、評価コンピテンスを測定する尺度の作成が進められなかったことから、既存のデータに対する二次分析を通じた「再評価→評価コンピテンスの変化」の検証を、前倒しして実施した。現在分析の途中であるが、感情をうまくコントロールするという経験が、1年後の個人の評価コンピテンスを予測するという結果が部分的に得られているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の重要概念の1つである評価コンピテンスを測定する尺度が作成できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の状況をみながら、評価コンピテンスに関する理論構築を進めつつ、適宜その測定尺度の作成を行っていく。また、今年度は使用可能な尺度を用いて、経験サンプリング法による検証も実施していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で、当初予定していた学会への参加、それに伴う旅費の使用がなくなったため次年度使用額が生じた。繰り越された分は、論文執筆のための英文校正費に使用する予定である。
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