2023 Fiscal Year Research-status Report
再評価による感情制御の経験が評価コンピテンスの形成に与える影響
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20K14133
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
榊原 良太 昭和女子大学, 人間社会学部, 准教授 (80778910)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 再評価 / 認知的評価 / 評価コンピテンス |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の予定であった2023年度は、当初の研究計画に基づき、2023年8月と2024年2月に、縦断調査の5回目と6回目を実施した。ドロップアウトによるサンプルサイズの減少は多少あったものの、3年間にわたる縦断調査によって、計300名弱に及ぶ中学生を対象としたデータを取得することができた。 当初の研究計画通り、日常における再評価方略の使用経験が、認知的評価の各次元(影響性、脅威性、コミットメント、コントロール可能性)をいかに規定するのかという点について、適宜分析を進めている。現在のところ、部分的な結果に留まるが、いくつか興味深い知見も得られている。まず、日常的に再評価方略を使用する傾向が高い個人ほど、時間的に後のコミットメントの得点が高いことが示された。この結果は、再評価方略によって、コミットメントという評価次元に変容が起きた可能性を示唆している。また、コミットメント以外の評価次元については、再評価方略の使用との間に関連は見られなかった。これらの知見から、再評価方略の使用によって評価コンピテンスを高める上で、特にコミットメントという次元に焦点化することが有用である可能性が示された。 一部の分析結果は既に学会発表に向けてまとめられており、2024年度に発表される予定である。また、国際誌への投稿に向けた準備も進めており、特に縦断データの分析手法について、より詳細な知識や情報の収集を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
縦断調査は計画通りに実施することができたが、分析が当初の想定よりも難航しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は2023年度が最終年度の予定であったが、継続して縦断調査を実施することにより、各種変数の変化に関するより詳細なデータが取得可能であるため、2024年度まで延長することとした。
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Causes of Carryover |
当初想定していたよりもサンプルサイズが小さくなり、オンライン調査の費用が抑えられたこと、また投稿予定だった論文の執筆が完了せず、英文校正費及び掲載料の支払いが生じなかったため。本年度、追加の調査および英文校正にかかる費用、また掲載料として使用予定である。
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