2021 Fiscal Year Research-status Report
認知行動療法的観点における機能の変化がひきこもり改善プロセスに及ぼす影響
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20K14199
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Research Institution | Tokyo Future University |
Principal Investigator |
野中 俊介 東京未来大学, こども心理学部, 講師 (90821736)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ひきこもり / 機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は,前年度の調査結果をふまえて,認知行動療法的観点からみたひきこもり状態の機能(理由)をアセスメントする尺度を作成した。その際,まずは前年度の知見および先行研究の知見をふまえて49項目からなる暫定版ひきこもり機能アセスメント評価ツールを作成した。続いて,ひきこもり機能をアセスメントする暫定版尺度に加えて,社会的交流の程度や精神的健康,生活の質を測定する質問紙を用いて,ひきこもり状態にある人またはひきこもりを経験したことがない人424名を対象としたウェブベースの調査を行った。項目分析および因子分析の結果,最終的に「社会的負の強化」,「自動的正の強化」,「自動的負の強化」という3因子から構成されるひきこもり機能アセスメント評価ツールが作成された。また,因子的妥当性および内的整合性が確認された。ひきこもり状態にある人を分析に含めた相関分析の結果は,ひきこもり機能アセスメント評価ツールの下位尺度によって,社会的交流または精神的健康,生活の質といった他の尺度との相関関係が異なる可能性が示唆された。 また,令和3年度は,ひきこもり機能タイプの変化がひきこもり改善プロセスに及ぼす影響をプロスペクティブに検討するために,1年間のフォローアップ調査のベースライン調査を行った。ウェブベース調査において,社会的交流の程度や精神的健康,セルフコンパッション,ソーシャルサポート等を測定する質問紙への回答を求め,ひきこもり状態にある人500名からの回答が得られた。この参加者に対して,6ヵ月後および1年後に同様の調査を行い,ひきこもりの機能(理由)タイプの変化がひきこもりや精神的健康の改善に及ぼす影響を時系列的に検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり,ひきこもり機能アセスメント評価ツール作成のための調査と,1年間のフォローアップ調査のベースライン調査を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度および3年度に収集したデータを用いて,論文投稿の準備および投稿を行う。また,令和3年度に実施したベースライン調査の6ヵ月後および1年後にフォローアップを行い,ひきこもり機能の変化がひきこもり改善プロセスに及ぼす影響を検討する。
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Causes of Carryover |
感染症状況によって,予定していた旅費の支出に変更が生じた。予定より論文作成が進んだことから,変更によって生じた費用を英文校正費や論文掲載料として使用したが,次年度使用額も英文校正費や論文掲載料等の論文作成に関する費用として使用する計画を立てている。
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