2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Applications of Cognitive Behavioral Therapy to Achieve Tailored Treatment
Project/Area Number |
20K14215
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
菅原 大地 筑波大学, 人間系, 助教 (10826720)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 認知行動療法 / アプリケーション / テーラーメイド / 抑うつ / Process-Based Therapy / 統合的心理療法 / モバイルヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病の治療と予防に対する取り組みが世界的に求められているが,本邦では認知行動療法を専門とする治療者が不足しており,認知行動療法を実施できる医療機関が少ない。そのため,インターネットやアプリケーションを用いたインターネット認知行動療法が注目されるが,インターネット認知行動療法は脱落率が高かったり,単一のプログラムしか提示できないといった問題が存在する。 そこで,本研究は,スマートフォンで多様な認知行動療法の技法を体験できるアプリケーションを開発し,個々の症状や性格に合わせてプログラムをテーラーメイド化して,抑うつ症状に対する効果検証を行うことが目的である。従来の介入研究では明らかにされてこなかった認知行動療法の治療プロセスの解明の一助となる。本研究によって,参加者の個人特性に合わせて最適な治療プログラムを提供する認知行動療法アプリケーションが開発される。 具体的に,研究1は,パイロットスタディとして,健常な大学生を対象に認知行動療法アプリケーションを用いた前後比較介入を実施する。次に,研究2では,軽度から中程度の抑うつ傾向者に同アプリケーションを用いた前後比較介入を行い,個人特性と認知行動療法の技法との相性を検討する。介入のデータを元に最も治療効果が高くなる予測モデルを作成する。最後に,研究3では,予測モデルに基づいたプログラムを実施するテーラーメイド群と,同一のプログラムを実施する既存プログラム群を設けたランダム化比較試験を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度の研究の目標は,個々人に合わせてテーラーメイド的に認知行動療法のプログラムを提供するアプリケーションを開発して,大学生を対象としたパイロットスタディを行うことであった。 まず,アプリケーション作成については申請時に相談をしていた企業の方針転換により,アプリケーション開発を依頼できなくなった。そのため,約4カ月ほど遅れて別の企業にアプリケーション作成を依頼したために,アプリケーション開発が全体的に遅れた。しかし,綿密に企業と打ち合わせをしたことにより当初予定していたよりも,介入参加者のユーザービリティが高く,かつ研究者(介入者)も操作しやすいアプリケーションが開発出来た。 2020年度は,コロナ禍もありプログラム開発や参加者のリクルートも遅れ,パイロットスタディは実施できていない。その代わり,指導学生や他の共同研究者にアプリケーションを操作してもらい,ユーザビリティを尋ねている。また,他の研究助成に採択されたこともあり,より一層,詳細な参加者の介入中の情報を得られるようにアプリケーションをさらに改良する予定である。 本研究の中軸にあるProcess-Based Therapyについて論文を執筆し,採択された。また,スラックを用いてProcess-Based Therapyの治療方法や研究について研究者とディスカッションを行っている。最近では,Association for Contextual Behavioral Scienceに参加し,海外の研究者と情報を交換している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は,まず初めにアプリケーションの改良を行う。現在,企業と打ち合わせを行っているが,2021年6月には改良を終える予定である。その間,認知行動療法のプログラムをパワポ等で作成をして,6月以降に随時介入を行う予定である。 研究室に所属するアプリケーションを用いた介入に知識と経験を有する学生を研究補助として雇用し,研究を推進させることができる。 以上を踏まえ,本研究では6月以降に大学生を対象としたパイロットスタディを行い,次に軽度のうつ症状をもつ人に対して中規模の介入研究を行う。パイロットスタディに関しては今年度中の投稿を目指す。今年度得られた情報をもとに予測モデルを作成して,来年度の介入につなげていく予定である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額は少額であり,ほぼ研究計画は予定通りに進行している。未使用額は消耗品等の購入に充てる。
|