2022 Fiscal Year Annual Research Report
A comparative neurocognitive study in autistic patients and animal models on the mechanism of perceptual enhancement
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20K14262
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
渥美 剛史 杏林大学, 医学部, 助教 (90781005)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉症 / 感覚過敏 / マウスモデル / fMRI / 時間認知 / QPS / 抑制機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(ASD)へγアミノ酪酸(GABA)に起因した神経伝達変調の関与が指摘されている。これまでに、運動前野がASD者の感覚刺激の高い時間分解能に関与し、分解能が高いほど、また運動前野GABA濃度が低いほど、強い感覚過敏を示すことをそれぞれ見出している。 まずこれらと注意・抑制機能との関連を分析した。ASD者では、時間認知課題中の妨害刺激呈示による分解能低下が小さいほど強い過敏性を示し、また反応抑制を含む実行機能との関連も明らかとなった。 また機能的MRIでは、情動関連刺激呈示によるASD者の分解能変化には一貫性がないものの、前頭前野や下頭頂小葉など時間や注意制御に関連する部位の関与が示された。 WTマウス運動前野と体性感覚野(S1)へGABA-A受容体拮抗薬を投与は、同様な時間認知課題の分解能をそれぞれ向上した。自閉症と神経伝達に関連する2種の遺伝子、Caps2とStx1Aの欠失型(KO)マウスそれぞれで、分解能は野生型(WT)より前者でやや低く、後者では同等であった。注意による時間錯覚であるPrior entryのテストでは、WTとCaps2では課題に無関係な視覚刺激呈示による錯覚がみられ、後者でより効果があったが、Stx1Aではそれがみられなかった。WTの内側前頭前野(mPFC)とS1への電気刺激(ICMS)では、mPFCのICMSはその効果を減じた。 視触覚時間分解能への妨害刺激の影響への運動前野の関与について、定型発達者を対象に四連発磁気刺激法(QPS)により調べた。運動前野への介入(5ms ISI)は、妨害刺激強度が高い条件でより分解能へ影響する傾向にあった。 以上から、刺激の時間処理への、感覚過敏と特異な注意機能それぞれの影響と神経基盤が示された。上記マウスモデルは、神経伝達に関与する遺伝子変異それぞれの異なる感覚処理への関与の解明に有用であると考えられる。
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Remarks |
上記、発達障害シンポジウム2022『発達障害にどう向き合うべきか ー社会モデル×脳科学の交差点ー』は、国連の定める世界自閉症啓発デーに合わせ、報告者が運営・講演等を行った一般公開シンポジウムである。報告者は、本研究課題についての成果を含めた研究報告を行った。
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