2022 Fiscal Year Research-status Report
遠アーベル幾何と双曲的曲線のモジュライスタックの幾何学的外モノドロミー表現
Project/Area Number |
20K14290
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
飯島 優 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 研究員 (00781197)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 双曲的曲線 / モノドロミー充満 / 配置空間 / 双曲的曲線のモジュライスタック / 写像類群 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に得られていた「高次円l単数の体上の種数とカスプの数が小さいlモノドロミー充満な双曲的曲線に対する副lグロタンディーク予想型の結果」と「一般の双曲的曲線からlモノドロミー充満な点を除いて得られる双曲的曲線への副lグロタンディーク予想型の結果」の応用として、高次円l単数の体上のある程度広いクラスの双曲的曲線に対して遠アーベル幾何の副lセクション予想の単射性の類似がlモノドロミー充満な有理点全体のなす部分集合で成立することを確かめた。この結果を従来の副lセクション予想の単射性と比較すると、適応できる有理点は従来のものより制限される代わりに、基礎体を従来で扱えなかった体に広げたものになっている。また、高次円l単数の体上の種数とカスプの数が小さいlモノドロミー充満な双曲的曲線に対する副lグロタンディーク予想型の結果の双曲的曲線の配置空間への拡張も確かめた。 加えて、現在投稿中の論文のレフェリーからの指摘を元に、双曲的曲線のモジュライスタックの幾何学的グロタンディーク予想の離散版から、(コンパクトでないものを含む)双曲的曲線の位相的基本群の外部自己同形群における写像類群の正規化群がほとんどの場合に拡張写像類群と一致することが確かめられた。また、同様の議論を双曲的曲線の配置空間の幾何学的グロタンディーク予想に対して適応することで、双曲的曲線の位相的基本群の外部自己同形群における双曲的曲線の配置空間の位相的基本群の正規化群も多くの場合に関連する拡張写像類群と一致することが確かめられた。これらの結果は、絶対グロタンディーク予想の幾何学的離散版と見做せる点で非常に興味深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
副lセクション予想の単射性はグロタンディーク予想と並ぶ遠アーベル幾何の重要な結果の一つである。それが従来で扱えなかった体に拡張できるということは、lモノドロミー充満という概念の重要性を強く補強する結果と考えられる。また、中心化群に対する結果である幾何学的グロタンディーク予想が(離散的な場合ではあるが)正規化部分群に適応できることがわかったことは重要な進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究の下、引き続き、双曲的曲線のモジュライスタックの幾何学的副l外モノドロミー表現、モノドロミー充満な双曲的曲線及びモノドロミー充満な有理点の研究を進める。特に、令和4年度の研究から、lモノドロミー充満な副lセクションの研究の重要性が認識された。そのため、一番基本的なケースである射影直線引く3点の場合において、モノドロミー充満な副lセクションの研究も進める。特に、高次円l単数の体の絶対ガロア群の構造を調べ、副lセクションに応用する。
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Causes of Carryover |
研究遂行のために参加予定であった研究集会がハイブリッド開催となりオンライン参加可能になったため、使用費が大幅に小さくなってしまった。次年度使用額は、ハイブリッド開催の研究集会への参加と講演を円滑に行うための周辺備品及び、研究資料の購入のための物品費や、可能な範囲で研究集会に現地参加するための旅費に活用する予定である。
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