2022 Fiscal Year Research-status Report
二重被覆の手法を用いた一般型3次元多様体の地誌学的研究
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20K14297
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
榎園 誠 東京理科大学, 理工学部数学科, 助教 (30843461)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | モジュライ / スロープ不等式 / ファイバー曲面 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、主にファイバー曲面のスロープ不等式に対するモジュライ理論的アプローチを行った。具体的には、Artinスタック上の函手的な条件を満たす因子が有効になる必要十分条件を与える一般的な結果を証明した。それを安定曲線のモジュライ空間をさらに拡張した悪い特異点を持つような曲線のモジュライスタックに応用することにより、一般ファイバーがモジュライの意味で一般なファイバー曲面のスロープ不等式の問題が安定なファイバー曲面のスロープ不等式に帰着できることを示した。この結果は曲線のモジュライ以外にも原理的には応用可能であり、本研究対象である(1,2)曲面を一般ファイバーを持つファイバー多様体のスロープ不等式に関しても新たなアプローチを与えるものであると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた退化ファイバーを分類・解析して(1,2)曲面束のスロープ不等式を導出するアプローチについては、当該年度はあまり進展していないが、モジュライ理論によるアプローチが新たに進展したため、当初予定していたように全ての退化ファイバーを解析する必要が無くなることが期待される。これは当初予期していなかったが、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の研究方策は、当該年度と同様に曲線上の(1,2)-曲面束の相対標準写像を振る舞いを解析し、退化ファイバーの粗い分類を試みつつ、新たにモジュライ理論的なアプローチも考慮する。2次Hirzebruch曲面束の2重被覆の分岐因子の特異点を解析することで退化ファイバーを調べていく。
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Causes of Carryover |
当該年度は、感染症の流行の影響でいまだ多くの研究集会が開催されず、旅費として使用する予定であった分が使えなかったため、次年度使用額が生じた。次年度は研究集会への旅費のほか、研究に必要な文献や電子機器を購入するために助成金を用いる予定である。
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