2023 Fiscal Year Research-status Report
二重被覆の手法を用いた一般型3次元多様体の地誌学的研究
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20K14297
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
榎園 誠 立教大学, 理学部, 助教 (30843461)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | モジュライ / スロープ不等式 / ファイバー曲面 / 半安定還元 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、前年度から着手しているファイバー曲面のスロープ不等式のモジュライ理論的アプローチからの研究を推し進め、プレプリントを一つ執筆し完成させた。具体的には、ファイバー曲面のファイバー芽にかんするモース化予想の仮定の下で一般ファイバーがモジュライの意味で一般なファイバー曲面に対するスロープ等式を確立した。また、Artinスタック上の因子の有効性にかんする定理を確立した。それらの応用として、種数3の非超楕円ファイバーに対するReid予想を肯定的に解決し、ファイバー芽のChern不変量にかんするLu-Tan予想を部分的に解決した。また、橋詰健太氏と共同で複素解析空間の射影射に対する半安定還元定理を確立し、それを複素解析空間に対する極小モデルプログラムへ応用した。 これらの研究により、本研究対象である(1,2)曲面を一般ファイバーにもつファイバー多様体を安定還元を通して理解する枠組みが整理された。実際、(1,2)曲面のモジュライ空間の(KSBA)コンパクト化の研究は最近ヨーロッパを中心に発展しており、(1,2)曲面の退化の研究にも曲線の退化の場合と同様にモジュライ理論的アプローチを展開できる下地が整ってきている。この研究と当該年度に行った研究(スロープ不等式のモジュライ理論的アプローチ、半安定還元定理)を組み合わせることにより、主な研究対象である(1,2)曲面束のスロープ等式や退化ファイバーの研究のさらなる発展が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に行った一般ファイバー曲面のスロープ等式の研究や複素解析空間の半安定還元にかんする研究により、(1,2)曲面束の退化ファイバーを半安定還元を通して分類・解析する研究を進めることができるようになった。これにより、(1,2)曲面束に対し局所不変量を定義しスロープ等式を確立することが期待できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の研究方策は、当該年度と同様に(1,2)曲面束の相対標準写像の振る舞いを解析し、退化ファイバーを2重被覆構造を通して粗く分類する。半安定還元の様子を考慮に入れながら研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
感染症等の影響により昨年度までは多くの研究集会が開催されず、旅費として使用する予定の分が使えなかった。そのため次年度使用額が生じたが、当該年度はおおむね通常通りに研究集会が開催され、(感染症の影響以前の)計画通りに助成金を使用できた。次年度は研究集会への旅費や研究に必要な文献・電子機器などに助成金を用いる予定である。
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