2020 Fiscal Year Research-status Report
Construction of quantum walk model in Max-plus algebra and its application
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20K14367
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Research Institution | The University of Fukuchiyama |
Principal Investigator |
渡邉 扇之介 福知山公立大学, 情報学部, 准教授 (80735316)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Max-plus代数 / 量子ウォーク / 固有値 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,量子ウォークを整数格子状に2次ベクトルが状態として与えられ,2×2のユニタリー行列によって時間発展する離散力学系であると捉え,この系のmax-plus類似の構成に取り組んだ.量子ウォークでは,与えた初期ベクトルから任意の時刻,任意の場所の状態ベクトルを決定する行列(状態決定行列)を明示的に書くことができ,我々はこの状態決定行列のmax-plus類似を導出することで,量子ウォークのmax-plus類似であるウォークモデル(max-plusウォークと呼ぶ)の構成に成功した. また,任意の時間における各状態のノルムの総和を保存量とする量子ウォークに対して,我々の構成したmax-plusウォークは時間発展を決める行列の固有値の総和が保存量になっていることを示した.この結果については,Linear Algebra and Its Applications誌に掲載された. また,量子ウォークにおいては,状態のノルムをその状態がその場所に存在する確率であると考えられており,保存量であるノルムの総和は1となり,これが保存するということは確率の総和が1であることと対応しているとされている.これに対してmax-plusウォークでは固有値の総和が0となることを示した.Max-plus代数において0は積の単位元であることに注意すると,max-plus代数においては固有値を確率とみなすことが有意ではないかと考え,max-plusウォークの定常状態と極限分布を導出した.この結果については論文投稿を済ませており,採択が決定している. さらに,量子ウォークに関する時系列解析やグラフ理論との関係についての文献調査を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は既に1件の掲載済み論文と1件の採択済み論文で発表しており,研究計画はおおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
量子ウォークにおいては,時間発展を決める行列のフロベニウスノルムの2乗も保存量となることが知られている.一般に行列のフロベニウスノルムの2乗はその行列の特異値の2乗和と等しいため,max-plusウォークが固有値を保存量とすることから,これらの間にある関係を調べる.また,max-plus代数と量子ウォークのそれぞれと密接な関係をもつセルオートマトンを通した解析の検討を始める.
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナの影響で国際会議,国内会議といった出張に行くことができず,研究打合せも含めてすべてオンラインで行ったため,使用計画における旅費を使用することがなかった.また,講師を招くこともできず人件費も使用することがなかった. 2021年度も学会の対面での開催は厳しいことが予想され,旅費の使用は難しいかもしれないが,オンラインでの研究推進に必要な機材が不足しているため,設備の整備に使用したい.また,オンラインでの研究集会を開くことを検討し,講師への謝金としたい.
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Research Products
(1 results)