2022 Fiscal Year Research-status Report
地球内部条件における鉄水素化物の安定性および水素量の解明
Project/Area Number |
20K14572
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
柿澤 翔 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, テニュアトラック研究員 (10846819)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 鉄水素化物 / 高温高圧 / 放射線X線回折 / 中性子回折 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球深部には、金属鉄や水の存在が示唆されており、それかが反応し鉄水素化物として存在しているのではないかと考えられてる。しかし、鉄水素化物は室温室圧で水素を吐き出すことが知られており、天然の鉄水素化物を発見することは困難であると予想される。そこで本研究では放射光X線及び中性子回折を用いて高温高圧その場観察実験を行い鉄水素化物の相図を作成し、地球内部に存在するであろう鉄水素化物の水素量を決定することである。 2022年度は、実験可能な圧力と温度を上げるため技術開発を行った。放射線X線回折実験では、より高温での鉄水素化物の水素量や融点を決定するために開発を行い、高圧下において鉄水素化物を溶融させることに成功した。また、発生可能な圧力を上げる開発も行い20 GPaまでの実験を定常的に行えるようになった。また、中性子回折実験では、2021年度の開発で下部マントルに相当する圧力(23 GPa)の発生に成功したが、回折強度が弱く長時間の測定が必要であった。2022年度では短時間で測定可能な開発を行い、16 GPaにおいて半分程度の時間で測定することが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの技術開発により実験可能な圧力温度範囲が広がりより広い条件での鉄水素化物の安定相、水素量、融点の決定が可能になった。一方で、地球内部における鉄水素化物の情報を議論できるようなデータの取得は至っておらず、研究期間を延長した。そのため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度までに開発を行った実験方法により最大20 GPaまでの実験が可能になった。これらを用いて放射線X線回折実験および中性子回折実験を行うことによって、鉄水素化物の相図を作成する。作成した相図によって地球内部における鉄水素化物の安定相や水素量を決定する。
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Causes of Carryover |
本年度は、実験方法の研究開発を主に進めたため地球内部における鉄水素化物を議論できるデータの取得は至っていないため、研究期間を延長した。そのため、残額を次年度に繰り越した。助成金は実験用消耗品や実験に係る旅費などに使用する予定である。
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Research Products
(19 results)