2020 Fiscal Year Research-status Report
びびり振動回避のためのアクティブ剛性制御システムの開発
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20K14631
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
林 晃生 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (50734430)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 工作機械 / 機械加工 / びびり振動 / 剛性制御 / 振動制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では加工時におけるびびり振動の発生を工作機械の剛性制御により回避・抑制する手法の提案とシステムの開発を目的としている.開発されたデスクトップ型工作機械は軽量化のためにパイプフレーム構造となっており,このパイプ(ブレスバーと称する)の一部取り外しや締め付けトルクの調整により,機械の剛性が変更可能となっている.これを利用して,びびり振動を回避することができれば,切削条件を変更することなく,安定かつ高精度な加工が実現される. 本年度の研究では,申請書の研究実施計画で述べた①「工作機械の剛性マトリクスの作成」と③「びびり振動回避実験」に取り組んだ.まず,びびり振動の発生する切削条件および機械の振動特性を把握するため,切削条件を変えて加工試験を行い,このときの加工面性状および加工音の測定を行い,切削理論から求まる面粗さとの比較,びびりマークと呼ばれる加工痕の有無の確認した.また,工具および工作機械の各部位で生じる振動を加速度計・変位計で測定した.このとき生じる切削力の変動を動力計により測定することで,加工振動特性を明らかにした. さらに,ブレスバーの取り付け箇所および締め付けトルクを様々に変更し,そのときの機械剛性の変化ならびに振動特性の変化を確認した.これをもとにびびり振動の発生する切削条件を示す安定限界線図を作成し,剛性変化によりこの切削条件が推移することを示した.すなわち,提案する剛性制御の手法によりびびり振動が回避・抑制可能なことを示している. 本研究の成果は,日本機械学会北陸信越支部学生会 第50回学生員卒業研究発表講演会ならびに精密工学会 第28回学生会員卒業研究発表講演会にて発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の通り,申請書の研究実施計画で述べた①「工作機械の剛性マトリクスの作成」と③「びびり振動回避実験」に取り組み,提案する剛性制御の手法によりびびり振動が回避・抑制可能なことを示した.測定結果をもとに①の剛性マトリクスを作成している.しかし,③実加工試験において,予想される安定領域での切削においてもびびり振動が発生する場合があったことから,加工実験を繰り返す必要がある.剛性の測定結果にばらつきがあることが考えられ,剛性の測定条件の確立と,測定実験の繰り返しにより,加工試験との対応が求められる.これが対応できれば,剛性マトリクスが完成される.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進としては,剛性の測定と加工試験によりびびり振動の回避の確認を並行して行っていく.さらに,有限要素法や実験モード解析によって各部位の剛性を同定し,剛性マトリクス(各方向の剛性パラメータ)を持った機械振動モデルを完成させる.モデル内の剛性パラメータを様々に変更し機械振動のシミュレーションを行い,剛性変更がより振動特性に影響を及ぼす構造部位(テンションの変更方向)の検討を行う. 作成した機械振動モデルを用い,機械剛性(振動特性)の変化に伴うびびり振動の発生条件を予測するための機械剛性をパラメータ表現した剛性マトリクスを持つびびり振動モデルを作成する.びびり振動モデル内に,工作機械の剛性パラメータに対応する伝達関数を組み込み,びびり振動の予測・安定限界線図の作成を行う.検討した剛性の変更方向に対し,様々に剛性を変化させた場合の安定限界線図を作成し,安定限界領域の変化量やシフト方向を検証することで,びびり振動を回避するための適切な剛性を検討する. また上記の加工試験を行うなかで,④「アクティブ剛性制御システムの開発」に向けて,共振による異常加工音(加工音周波数と切削周波数の共振ピーク)を評価しびびり振動の発生を確認するシステムの構築を行う.これは加工中にリアルタイムにびびり振動の発生を検知するために必要である.
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Causes of Carryover |
42,522円の使用額が生じた理由として、学会参加費および旅費を申請していたが、コロナ過での学会がオンライン化したことにより、旅費の支出がなかったことがあげられる. 設備備品および消耗品としてレーザ変位計・加速度ピックアップを購入予定であったが、これを本研究室所有の別測定器で代用し、代わりに切削動力計(フォースリンク)を購入した.これについてはおよそ予算申請通りの金額で購入できている.
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Research Products
(2 results)