2020 Fiscal Year Research-status Report
磁気回転子の集団運動制御による革新的マイクロ流体デバイスの開発
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20K14649
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| Research Institution | Osaka University |
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Principal Investigator |
松永 大樹 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40833794)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 磁性粒子 / ストークス流れ / 集団運動 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
2020年度に達成した研究成果の一点目は「磁性液滴の希薄懸濁液のレオロジー制御」（Physical Review Fluids, 2020）である．希薄に磁性液滴が懸濁する溶液にせん断を負荷し，その上で外部磁場を与えることによりレオロジーがどのように変化するかを明らかにした．速度勾配方向に磁場を与えると粘度が下がる一方，せん断方向に磁場を与えると粘度が低下することが明らかとなった．また磁場をせん断方向・速度勾配方向・渦度方向に負荷すると法線応力差も制御することが可能である．磁場を与えることにより懸濁液のレオロジーを劇的に変化させる可能性を示唆するため重要な成果である．
研究成果の二点目は「磁気遊泳体の集団運動制御」（Physical Review Letters, 2021）である．自然界には磁石を体内に有し磁力を生存戦略に用いる磁性バクテリアのような生物が存在する．これら磁石としての性質を持った遊泳体を磁気遊泳体と呼ぶことにすると，これら磁気遊泳体が集団で円管中を遊泳するときその集団的な振る舞いが磁場の強さによって制御できることを明らかにした．磁場が弱いときには管中央に集束し，磁場を大きくするとある無次元数にて相転移が起こり管長手方向に粗密構造を形成する．更に磁場を強くすると管中央にて非常に高密度に遊泳体が凝集することが明らかとなった．本研究成果は磁気遊泳体の集団的な振る舞いが外部磁場により劇的に変化することが注目を集め，物理系のトップジャーナルであるPhysical Review Lettersに掲載された．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2020年度は論文を国際学術誌にて二報発表し，計画以上に大いに進展した．当初の計画では初年度に小さい系（二体問題，三体問題など）を扱い，二年目に大規模な系の解析を行うとしていたが，初年度から多体干渉を含む集団運動の大規模解析（Physical Review Letters, 2021）を実施することができた．また2021年度の研究計画を遂行するための下準備として数値計算のプログラム作成や予備計算が終わっており，当初の計画以上に進展していると言える．
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| Strategy for Future Research Activity |
2021年度は以下の二点から研究計画の遂行を目指す．
一点目は磁性コロイドの集団運動制御によるマイクロロボットの設計である．一般に一様磁場を磁性コロイド群に負荷すると全てのコロイドが同一の運動するが，コロイド間に働く磁気双極子の相互作用を考慮することにより非自明な集団運動を実現できることが研究代表者の先行研究で明らかとなっている．この仕組みを利用した磁気マイクロロボットの設計に現在取り組んでおり，その実現・発表を目指す．
二点目は磁性液滴の自己組織化制御である．2020年度に発表した論文ではせん断下にある磁性液滴に磁場を負荷することにより懸濁液の物性・レオロジーを変化させることが可能であると示した．これらの液滴が多数存在する系に磁場を負荷することにより，これら液滴の集団的な位置関係を制御し自己組織化を実現できると期待されている．以上の成果の実現・発表を目指す．
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| Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウィルス（COVID-19）の蔓延状況により，計画していた国際学会（APS-DFD 2020）の参加を見送り，また国内学会がオンライン開催となったため旅費・宿泊費が必要なくなったため使用額に差異が生じた．
2021年度にも国際学会・国内学会の参加を予定しているが新型コロナウィルスの状況を鑑み参加の決定すると共に，どうしても旅費分の執行が難しい場合にはサーバなどの設備に投資し研究室内の計算機環境を更に増強する計画である．
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