2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K14712
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Research Institution | Shonan Institute of Technology |
Principal Investigator |
岩渕 大行 湘南工科大学, 工学部, 准教授 (50757341)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 沿面放電 / 電界電子放出 / 電子デバイス / パッシェンの法則 / 部分放電 |
Outline of Annual Research Achievements |
数μm以下の微小なギャップ(以下マイクロギャップと記す)における絶縁破壊(放電)現象の解明は、デバイスなどの信頼性を確保するうえで重要な課題である。特に近年の微細加工技術の発達に伴い、気体中や絶縁物表面の微小ギャップにおける絶縁破壊現象が大きな問題とされるようになり、マイクロギャップ間の絶縁破壊現象に関する研究が盛んにおこなわれるようになっている。しかしながら、これまでの研究報告は大気圧環境下での使用を暗黙の前提として実施されたものであり、機器、デバイスの絶縁設計上不可欠となる雰囲気気体圧力の影響を考慮した放電機構に関する検討が全くなされていないのが現状である。そこで本研究では高精度電流測定・絶縁破壊時間遅れ特性測定とシミュレーションを組み合わせたシステマティックな研究により、低気圧・微小ギャップ環境下における絶縁破壊メカニズムを明らかにし、微小なギャップを有するデバイスの絶縁設計の高度化に不可欠な知見を提供することを目的とする。 本年度の実験では、低気圧環境下でのV-t特性(絶縁破壊電圧-絶縁破壊遅れ時間)の極性効果を追加測定した。圧力を1/10atm, 1/100atm、ギャップ長を3μm以上とした場合、特に正極性電圧印加時において顕著に、ギャップ間以外の箇所での放電が見られた。圧力を1/10atm, 1/100atm、ギャップ長を1μmとした場合、絶縁破壊遅れ時間は0.1μs-100μs、絶縁破壊電圧は50-500Vの間でばらつきがあったが、極性依存性は小さかった。ギャップ長1μmでは、接地電極表面も電界強度が10^9V/mを超え、両電極から電界電子放出が発生しうる電極構成であったため、極性効果が小さくなったと考えられる。これらの結果から、低気圧環境下での放電現象には電界電子放出が強く影響していることがわかった。
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